『Rogue One: A Star Wars Story』
『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品で、タイムラインは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の寸前。宇宙は帝国軍の闇に包まれ、反乱軍が反撃を狙っていた頃、拠点デススターの設計図を奪うために数人のローグ(ごろつき)が帝国軍に挑む。
スカイウォーカーもハンソロも登場する以前で、中心人物はデススターを設計したゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)の娘ジン(フェリシティ・ジョーンズ)と、彼女を助ける4人の男たち(ディエゴ・ルナ、ドニー・イェン、チアン・ウェン、リズ・アーメッドイ)と辛口のドロイドK-2SOで、ジェダイは登場しない。つまりはヒューマン・パワーで、この困難な戦いに挑んだ者たちの物語である。
ジェダイの登場しない作品は本作が初めてだが、『新たなる希望』に出ていた人物や戦闘機も当時のままで登場というファンサービスは徹底している。監督は14年の『Godzilla』をヒットさせたギャレス・エドワーズ。
驚いたのは帝国軍の将軍を演じた故リチャード・カニングハムが出ていたこと。彼に似た俳優を使い、その後CGで処理したようだ。高齢の俳優のシワを消して若い頃の顔を作り出すCG処理は何度も見ていたが、今や死んだ俳優も生き返らせることができるようになった。これについては倫理的疑問が投げかけられている。
特筆したいのは、主人公がシリーズ初の女性であることと、脇の俳優たちの国際性と多彩さ。デンマーク人のミケルセンに始まり、メキシコ人のルナ、パキスタン系英国人のアーメッドイ、イェンとウェンは中国人で、ゲリラ戦士にフォレスト・ウィテカーなど、人種的多様性を重視したキャスティングになっていた。スピンオフだからこそ出来た配役で、白人ばかりの77年『新たなる希望』と比べると隔世の感がある。ファンサービスに徹しているが、スピンオフなのでシリーズ全部をフォローしていない観客も楽しめる内容で、それが功を奏してか16年の興行成績第2位を記録、『スター・ウォーズ』強しを証明した。ちなみに15年に公開された『スター・ウォーズ /フォースの覚醒』は全世界で2兆ドルを稼ぎ出している。
これら全てを配給したのはディズニー。今やピクサーやルーカスフィルム、マーベルコミックを傘下に収め、16年に大ヒットした作品の大半を配給した。ディズニー、映画界の帝国軍という趣ではないだろうか。
上映時間:2時間13分
シアトルはシネコン等でスタンダード、3D両バージョンで上映中。
[新作ムービー]