メキシコの魅力が凝縮された街
オアハカ(メキシコ)
メキシコで最も先住民比率が高いと言われ、伝統文化が色濃く残るオアハカ。スペイン植民地時代を思わせるコロニアル様式の建物などもあり、メキシコの魅力がぎゅっと詰まった場所です。
(取材・文:小川祐理子)
あのディズニー/ピクサー映画の世界が目の前に!
メキシコ南部、標高約1,500メートルに位置するオアハカ。最近では、映画「Coco(邦題:リメンバー・ミー)」の舞台となったことでも有名だ。街を歩いていると、気のせいか女性の観光客が多いように見える。それもそのはず、女子のハートを動かす条件「かわいい」と「おいしい」を兼ね備えている場所なのだ。
「美食の街」として知られているオアハカは、コーヒー豆やカカオ豆、長〜く伸びるチーズなどが特産品。これらをふんだんに使ったローカル・フードをお腹いっぱい味わえる、まさに食文化の宝庫である。街中はまるで屋台天国。至るところに店が並び、おいしそうな香りが広がる中で、地元の人たちが黙々と食事をしている。
しゃれたカフェも多い。コーヒー好きの私は、いろいろな店をめぐりながら、それぞれのコーヒーの味の違いを楽しんでいるだけで1日を過ごせてしまう。
現地で生活するように旅する醍醐味
どの国に行っても現地で生活するように旅したい私は、地元の生活をもっと肌身で感じられるよう、古代メキシコ文明の時代から続く「ティアンギス」という先住民の市場を訪れた。食材や衣類、日用雑貨といった生活必需品が売られており、まさに暮らしの中心と言える。生きた鶏までいた! ここではメキシコの大地の恵みを味わうべく、大量に積み重なって売られていたパイナップルを購入。ザクザクとその場で角切りにしてもらったパイナップルを頬張りながら、市場の中を練り歩いた。
民芸品でも有名なオアハカ。街中には多くの雑貨屋があり、織物や刺しゅう、陶器、雑貨などが売られている。これらは先住民の人々が受け継いだオアハカの伝統工芸だ。カラフルでかわいらしい品物を前に、普段は存在感の薄い私の女子的一面が思わず顔を出す。
秘境、イエルベ・エル・アグア
もちろん、素晴らしい自然もある。スペイン語で「沸騰した水」という意味を持つイエルベ・エル・アグアではミネラル濃度の高い冷水が湧き出ており、長い年月をかけて独特の地形が生まれた。湧き出る透明な水と、周囲に広がる山の緑とのコントラストが見事で、ずっと眺めていたくなる。
食事にショッピングはもちろん、こうした美しい大自然もオアハカの魅力。旅を楽しむには欠かせない要素が盛りだくさんの場所だ。今回は4泊5日の滞在だったが、見どころがあり過ぎて、何日いても足りないと感じるほどだった。これからもずっと、メキシコの古き良き伝統文化が残る街であって欲しいと思う。
┃シアトルからの行き方
直行便はないが、アメリカ南部の都市やメキシコシティなどを経由して早ければ9時間前後で着く。航空券はメキシコシティとの往復で取り、そこからは高速バスで移動するのも一般的だ。約7時間かかるが、メキシコは高速バスのサービスが充実しており、車内は快適そのもの。