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武蔵野美術大学生によるグローバル人材育成プロジェクト参加体験

武蔵野美術大学は平成24年度に文部科学省のグローバル人材育成推進事業(特色型)に採択され、今年で4年目を迎えた。同事業は、若い世代の「内向き志向」を克服し、国際的な産業競争力の向上や国と国の絆の強化、そしてグローバルな舞台に積極的に挑戦し活躍できる人材の育成を図るべく、大学教育でのグローバル化を目的としたプログラムを財政支援している。
同美術大学では、これまでに多くのグローバル人材育成プログラムを企画・開催し、学生と世界を繋ぐ活動を積極的に行ってきた。その一環である海外インターンシッププログラムは今年で3回目を迎えた。参加学生は、この体験を通して大きく成長するために各自努力を積んでいる。今年7月25日~8月21日にシアトルで行われたプログラムへの参加学生6人が、各自のインターンシップについて寄稿した。

 

シアトル美術館
小坂侑香(芸術文化学科3年)

私は芸術文化学科でミュゼオロジー(美術館学)を専攻しているため、その学びの助けにならないかと、シアトル美術館(以下SAM)でのインターンを選択しました。
私は、ボランティアに関する事務を行う部署に属し、そこで資料の整理を行いました。SAMには年齢や職歴、国籍を問わず沢山のボランティアが所属していて、美術館を訪れたお客さまの作品鑑賞のお手伝いをしています。そのボランティアの皆さんのデータを整理し、昨年度のアニュアルレポートを制作するというのが私の仕事です。日本ではあまりこのような作業をする機会が無かったため、悪戦苦闘することもありましたが、非常に勉強になる事ばかりでした。業務の合間に美術館の裏側を見学させていただいたり、実際に展覧会で最前線で働いている方とお話する機会を得る事ができたりと、貴重な体験を沢山させていただきました。
ところで、SAMでは日本の美術作品の展示が充実している事をご存知ですか? シアトルアジア美術館はもちろんのこと、ダウンタウンでも日本の展示コーナーにはとても力を入れています。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

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PSP Inc.
蔡雲逸(基礎デザイン学科3年)

私はPSPというウェブ会社でウェブデザインの仕事をしました。ゴールは、日本語を無料で勉強できるJAPANESE-ONLINEという外国人向けのウェブサイトをリニューアルすることです。アメリカの会社は、指示を待つのではなく自主的にやらなければならないことを実感しました。
初日にプランを作り、リサーチ、問題の発見、改善方法を捜すのが第1段階。第2段階はユーザーの心理を分析し、外国人から見た日本の魅力をイメージしてビジュアル化すること。さらに新しいアイデアを参考にしつつ、デザインの基本知識を独学すること。このペースで、第1週目のフレームワークだけではなく、モックアップも含めで、指示された仕事より順調に進んだのですが、全て自分のペースで作ったため、プレゼン時にずいぶん突っ込まれ、コミュニケーションが重要だと意識しました。
会議で多くのフィードバックをいただいて、第1回目のプレゼン後は、できたデザインをグループのメールに送り、フィードバックを受けることを毎日続けて、みんなの意見を受けながら、自分の案を改善していきました。

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テンサウザンドビレッジ
齋藤友里子(視覚伝達デザイン学科3年)

フェアトレードという言葉をご存知でしょうか。フェアトレードとは、発展途上国で作られた商品を適正な価格で取引し、それを継続させ生産者の生活向上を支える取り組みのことです。私がインターンシップを行ったテンサウザンドビレッジ(Ten Thousand Villages Seattle)は、主に発展途上国に住むアーティストの作品をフェアトレード商品として取り扱う専門店で、私はここで主にデザインに携わりました。業務は多岐に渡り、一般的なデザイン業務である宣伝ポスターや商品タグだけでなく、商品ディスプレイや外に置く看板のイラストレーションなども含まれます。
ここでは毎月数多くのイベントを行っているため、開催情報をわかりやすくまとめたイベントカレンダーの作成も担当しました。カレンダーやポスターはお客様の目に留まりやすいようレジの横に飾られるなど、実際に使っていただけて、とても達成感を感じました。商品やイベントを、デザイン・アートを通してより魅力的に見せ、少しでも多くの方にフェアトレードに興味を持っていただくこと、商品を手に取っていただくことを、私の目標にしました。

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リール・ガールズ
藤川咲良(視覚伝達デザイン学科2年)

リール・ガールズ(Reel Grrls)は若い女の子に映像制作のワークショップなどを提供する団体です。少女たちは、政治、人種、性別など世の中の様々な問題について自分たちなりに考え、作品を作ります。私は、夏期に開かれる様々なキャンプの一部に参加しました。
私が担当したのは、参加者1人1人に専用のファイルを用意するほか、会場の設置などをする仕事です。必要な内容を上司から聞き取り、それを印刷し、ファイリングする作業は、日本語なら簡単にできるものの、英語でコミュニケーションをとって行うのは私にとって難しく、どうしたら正確に意思疎通ができるのか、と考える良いきっかけになりました。特に私は大学で視覚伝達デザインを専攻しており、他者とのコミュニケーション方法を学んでいるので、今回の経験を今後に生かせるのではと思っています。
参加の少女たちは、「正義とは何か」などと難しい課題を投げかけられても、しっかり考えてどんどん発言しているのに衝撃を受けました。

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PSPinc.
斉藤大介(基礎デザイン学科3年)

PSPincは、企業向けに、ウェブサイト、Eメールのホスティングおよび、ウェブ開発からオンラインマーケティングまで様々なインターネットサービスを提供している会社です。
私はデザインチームに配属され、PSPincが作成した日本語学習サイトのデザインリニューアルを担当しました。自分自身の明確な目標とプランを立てて、多くのアドバイスを頂きながら、自分の判断で仕事を進めることができ、素晴らしい体験となりました。またPSPincは、カンパニーランチ、昼休みのフリスビーなどの社員同士のコミュニケーション活動も盛んで、アットホームな雰囲気で英語を学ぶことができました。 今回の体験で、将来は海外でデザイナーとして働きたといという自分の気持ちが一層強くなりました。一緒に働かせていただいたデザインチーム、そしてお世話になったすべての社員の方々に深く感謝しております。本当にありがとうございました。

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四つ葉学院
大椛由美子(油絵学科版画専攻3年)

私の研修先の四つ葉学院は、グローバル社会で活躍する国際人の育成を目的とした海外の教育機関です。ここでは、私の得意とする色彩構成や緻密なデザイン感覚を活かして、試験管の中に虹を作りました。また色の基本原理を教えると共に、草花で和紙を染めて団扇を作る理科実験と工作の教室の授業を展開しました。この体験を通して、子どもたちに科学の驚きや楽しさを伝える事ができたように思います。
天体観測キャンプの引率を通して、自然の中にある木材や河原の小石、満天に広がる星から、素晴らしい創造力が子ども達に備わっていることに気づかされました。身近な物を遊びに変えてしまう子供たちのパワーや感性は本当に素晴らしいと思います。(子どもたちの多くは日本のキャラクター文房具にも興味があるようです。海を越えても愛されているキャラクターとは、子どもだけでなく大人にとっても魅力的な存在だと実感しました。)
今回のインターンシップを通して、世界中の子どもたちに様々な「楽しい!」を提供したいと思うと同時に、教育にも繋がる玩具や、愛嬌のあるキャラクターを制作してみたいと強く感じました。
この夏の海外での経験を、今後の自分の制作活動で表現できたらと思います。

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