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ブラジル旅行記

友だちに会いにブラジルへ

2014年11月、ブラジルに旅行することを決めた。以前留学中にクラスメートだったブラジル人の友だち2人に会うためだ。日本からブラジルに行くには、約25時間のフライトと12時間の時差を経験しなければならない。「シアトルから行けばそれよりはだいぶ楽なはずだ」という単純な発想で、シアトルからサンパウロ(São Paulo)、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)行きのチケットをオンラインで購入した。

ブラジルに到着!

シアトルからアトランタまで5時間、アトランタからサンパウロまで9時間。あわせて約14時間のフライト。「アメリカからでも結構遠いな」というのが正直な感想だ。私は飛行機に乗る際に荷物を預けなかったのだが、空港職員による盗難事件が多いらしく、預けた人は無事に荷物が到着するか、中身が盗まれていないか心配していたようだ。 IMG_1490_opt ブラジルというと治安が心配という意見が多い。私もその一人だったが、友だちがずっと付き添って観光案内をしてくれたおかげで滞在中に危険な目にあうことはなかった。移動する時は車を出し、危険な場所は避けてくれた。感動したのはブラジルに住む人たちのホスピタリティ。友だちは私を家に泊めてくれ、家族や友だちを紹介してくれた。中には英語が話せない人もいたが、みんなあいさつ程度しかできない私のつたないポルトガル語を聞き取ってコミュニケーションを図ってくれた。

友だちのおかげで、滞在中はブラジルの家庭料理を堪能できた。鶏肉やキノコが入ったストロガノフ、黒豆を煮込んだフェジョアーダ、煮込んだ肉をタピオカの皮で包んだものなど、これまで見たこともない料理ばかり。主食が米で味付けも日本食に近いことから、毎日おなか一杯ご飯を食べて2キロも太ってしまった。ビールの種類が豊富で、暑い国のせいか、日本やアメリカのビールよりも軽い印象。カイピリーニャというブラジルのカクテルは、度数は強いのにさっぱりした味でブラジルの気候にぴったりだ。

食に関して印象的なのは、ブラジルの日本食レストラン。ブラジルの日本食を表す言葉として、私は創造性とクリームチーズを挙げたい。日系人が多いこともあり、ブラジルでは日本食が人気のようだが、皿にひいたアルコールに直接火をつけたあぶりサーモンと、イチゴの寿司にはびっくり。さらにびっくりしたのが、巻き寿司、魚料理、しめじを使った一品料理、春巻きのようなもの等たくさん料理が出てきたが、そのほとんどにクリームチーズが入っていたことだ。友だちに聞くと、それが普通だとか。「アメリカの寿司にアボカドがたくさん入っているように、ブラジルの日本食にはクリームチーズがたくさん入っているのよ!」

次の目的地リオデジャネイロへ

サンパウロでの楽しい3日間はあっという間に過ぎた。グアルーリョス空港で飛行機に乗り、リオデジャネイロまで約50分のフライト。リオデジャネイロといえばサンバカーニバルだが、残念ながらカーニバルが行われるのは2月。次はぜひその時期にブラジルに行って、私もサンバを踊ろうIMG_1535_optと思う。もう一つ有名なのが、コルコバード(Corcovado)のキリスト像。像のふもとまで連れて行ってもらえる予定だったが、悪天候のため、残念ながら訪れることはできず、遠くから写真を撮って「まあいいか」と自分を納得させた。

リオデジャネイロではビーチが人気の観光スポットらしく、2日間で6つものビーチに連れて行ってもらった。ブラジルで一番有名な、日本でもよく知られるコパカバーナ(Copacabana)ビーチは、冬(といっても気温はシアトルの夏と同じくらいだが)だというのに観光客でにぎわい、タオルやアクセサリーを売る人もたくさんいた。ここで気に入ったポイントは、トイレが豊富にある点。数メートルおきに地下につながるきれいなトンネルがあり、その中にトイレがある。1.5レアル(約50セント)ほどかかるが、ビーチでこんなにきれいなトイレを使えるのは嬉しかった。タクシーで5分ほど移動して向かったのは、ボサノヴァの名曲『イパネマの娘』の舞台イパネマ(Ipanema)ビーチ。想像していたよりも波が高く、どちらかというとサーファーに人気なのでは。コパカバーナよりも落ち着いた印象で、ゆっくり散歩を楽しみたいときはこちらのビーチがおすすめ。

IMG_0437_opt なかでも一番印象に残っているのが、リオデジャネイロ中心部から車で3時間ほどのところにあるフォフヌ(Forno)ビーチ。車で近くまで行けるものの、そのあと30分ほど山道を歩かないとたどり着けない海岸だ。しかも、山の中には看板もなく、危うく道に迷うところだった。じりじりと照り付ける日光の下、足元に気をつけながら黙々と山道を登って行く。ごつごつした石段、行く手を邪魔するとげとげした枝に四苦八苦しながら歩く。友だちはしきりに私のことを心配してくれた。なぜみんなはビーチサンダルですいすい山道を歩けるのだろうか、と疑問に思った。やっとのことで海岸に到着。今まで見たことのない、目の覚めるような美しい海岸が目の前に広がっている。自分の足も透けて見えるほど透明できれいな海水。照り返しがまぶしい雪のような白い砂。山登りの疲れも忘れて、水際で大はしゃぎした。海水は思ったよりも冷たくて泳ぐことはできなかったが、水を蹴り上げたり、波と追いかけっこしたり、砂の山を作ったりして遊んだ。観光客が大勢いるわけでもなく、とてもリラックスできた。透き通った海、青い空、白い砂、海水浴の前のちょっとした冒険。リオデジャネイロに行った際にはぜひ訪れて欲しい場所である。

これからブラジルに旅行する人へ

旅行先としてブラジルをすすめるかと問われたら、間違いなく「Yes!」と答える。おいしい食事、きれいな景色、開放的な雰囲気を楽しむことができる。経験からいうと、重要なのはビザ、言葉、人とのつながりだと思う。 ブラジルビザは最も取得が大変なビザのひとつとも言われており、時間がかかる。取得するには、オンライン申請の後、サンフランシスコの領事館で面接を受けなければならない。シアトルからサンフランシスコまでの航空券は約200ドル、旅行会社に委託しても約200ドル必要。それならプロに頼む方が得策だ、ということでダウンタウンシアトルにオフィスを持つ産経トラベルに行った。確認してもらうと、在学証明書やワシントン州の在留証明等を用意しなければならないという。そんなことはインターネットに載っていなかった。もしインターネットの情報のみを信じてサンフランシスコに飛んでいたら、書類がそろっていないということでビザが取れていなかった可能性大。

IMG_1542_opt ブラジルの公用語はポルトガル語。若い人たちは英語が話せる人が多いが、一般の人はもちろん、空港で働く人でさえ英語が話せないこともある。場所を尋ねたり、助けを求めたりする最低限のポルトガル語は知っておいたほうがよいのでは。言葉の面でもそうだが、日本人一人でブラジルを旅するというのは難しいのではないかと思う。ただし、ブラジルに住む人は陽気でフレンドリーな人が多いので、友だちに頼ったり、旅行会社に依頼したり、ツアーに参加したりして、現地の人と交流できるようにすればブラジルの旅を一層楽しめるに違いない。

文・写真:井山文枝