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受け身型人間の落ち着くところ

canadaRestart20150125 私は受け身型人間といおうか、人の言葉によく左右される。これは、個人を受け身型にしてしまう日本社会にも一因があるだろう。しかし振り返ってみると、自分の人生はこれまでその受け身型で結構うまくやってこられたと思う。18 歳になるまで親に世話になった後、転機には必ず友人・知人の誰かが適当な道を開いてくれた。

友人に誘われて日本を出た時には、親の心配を無視して今こそチャンスとヨーロッパに向けて旅立ったのだし、その後シアトルに来て日本総領事館の求人広告を見た時には、就職活動未経験のため「恥ずかしい」と尻込みしていた私を、友人が半ば強制的に押してくれた。

そんな私が、日本社会が住民に協調性を要求していることを疎ましく感じるようになり、個人の自由がより尊重されているように見えたアメリカ社会のことをテレビなどで知って、アメリカに住みたいと思うようになったのだ。この性格が培われた日本社会を捨ててしまうことになった理由は何だろう?

受け身型人間でありながら、物心がついた頃からなぜか私は人と同じことをするのを嫌って来た。大学時代には、クラスメートが一斉に就職活動を開始したのに、「クラスメートと同じようなことはしたくない」と、何もしないでいた。そしてそれを「就職活動をしないのは大人の世界に入ることに恐怖を感じているからだ」と思うことで自分を正代の担任教師に通信簿で指摘されたことでもあるが、私は本来難しいことや嫌なことを避けて通る性格であったからだと思う。

最近になってある友人に、「自分は受身型人間だ」と打ち明けたら、その友人は、私は「陰・陽」の「陰」の体質ではあるけれども、一旦アイデアをもらうとそれを受けてアクティブに行動するタイプで、いわゆる受け身型によく見られる「甲斐性なし」ではない、と言われ、今までの自分の性格に対する否定的な見方がころりと覆った。そう言われてみればなるほどと思う。人の助言で開かれた道を真面目にたどって成すべきことをしてきたのは、私にも主体性があったからだ。

総領事館に勤務中はありがたいことに毎月給料がもらえたが、先輩に「ここの給料だけをあてにしていたのでは退職後生活していけないよ」と助言された。そこで、その先輩にならって、コツコツと不動産物件を売買していった。おかげで今、まがりなりにもリタイアメントをエンジョイできているのだ。

[カナダで再出発]

武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。