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コミュニティー・センターの役割

カナダでのリタイアメントライフで幅を利かせているのが、サークル活動やスポーツ、レクリエーションなどが随時行われているコミュニティー・センター(以下、CC)の存在。勤めていた頃は、シアトルにも同じ施設があることは知ってはいたものの自分には無関係と思って、エクササイズには民間のジムに通っていた。 バンクーバーで CC の利用が盛んな理由としては、バンクーバーの CC 担当者のマーケティングがうまいからだとか、歩いて行ける距離にあって便利だからとか、利用料が安いので収入が限られる退職者には利用しやすいという意見もある。いずれにせよ私個人としては、CC は退職後、平日の昼間が自由時間となって浮上した重宝な「リタイアメント・ツール」なのである。 バンクーバー市一帯にはいずれもモダンで立派な CCが合計 27 軒あり(因みにシアトル市内には約 26 軒ある)、経営は市の公園・レクリエーション・文化局と民間団体・企業がパートナーになって行っている。ほかにも自宅から数ブロックのところにあるオリンピックサイズ・プールがあるアクアティック・センターのような市営スイミングプールも13 軒ある。 B C 州に引っ越してからは、水泳、ウェイトトレーニング、ヨガ、ピックルボールなどで CC を大いに利用させてもらっている。自宅からわずか 2 ブロック先にあるシニアセンターにも安価な食事を求めて時々通っているし、この冬からはコールハーバーCC で初心者向けにピックルボール指導のボランティアをやっている。 CC に通うと自ずと近所に住む人たちと知り合いになれ、「補聴器のミートアップが月 1 回あるよ(私は補聴器利用者)」とか、「スマホの契約はこういうのが便利だ」など、その地での生活に有益な情報が入る。シニア割引もうれしい。ちなみにピックルボールは 1 回 2 ~ 3.75 ドル、ヨガが 5 ドル、アクアティック・センターの入場料は 4.10 ドル。若い人たちが働いている平日の昼間に割引料金でこの施設を利用していると、「働いている人たちに悪い」という罪の意識 と「これぞリタイアメント・ライフ」という幸福感が入り交じるのは、やはり自分が日本人だからか。 最近私は友人のミチコさんに「 パートナーになって」と誘われて、近くの CC に社交ダンスを習いに行くようになったのだが、しばらく経つと彼女は、背が高くてハンサムなリード上手の白人男性にスッと乗り換えてしまった。今年の夏こそ、ダウンタウンにあるロブソン・スクエアーで毎週金曜の夜に開催される無料オープン・ダンスに行って練習の成果を披露しようと楽しみにしていたのに、人生は思い通りに行かないものだ……。

[カナダで再出発]

武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。