2月中旬現在、高校男子バスケで全米トップにランクされるチームがシアトルにあるのをご存知ですか? 昨季は3勝17敗と大きく負け越しながらも、今季レギュラーシーズンを20勝無敗で終えたネイサン・ヘイル高校(Nathan Hale High School)です。
シアトルのバスケ強豪校といえば、NBAで3度シックスマン賞に輝いたジャマール・クロフォード(クリッパーズ)の母校レイニアビーチ高校や、2007年の新人王に輝いたブランドン・ロイ(元トレイルブレイザーズ)の母校、ガーフィールド高校が有名です。レイニア・ビーチは過去16年間で州優勝7回、準優勝3回。ガーフィールドは2015年にレイニア・ビーチを破って初優勝し、去年はレイニア・ビーチに敗れて準優勝したチーム。この両校が所属するメトロリーグで、今季はネイサン・ヘイルが大躍進を遂げています。
高校バスケ界では無名の弱小校がいきなり全米トップの座へ躍り出た最大要因は、昨年6月に元NBA選手のロイが監督に就任した点です。それと同じ時期に、ミズーリ大学女子バスケのマイケル・ポーター・アシスタントコーチが、ロイの母校であるワシントン大学男子バスケのアシスタントコーチとして採用され、シアトルへ引っ越すことになりました。5男3女のポーター家には高校生の息子が3人。いずれもバスケ選手で、長男のマイケルJr.は208センチの長身ながら運動能力の高いスモールフォワード。今年卒業予定の選手中、ESPNが全米1位に選ぶ有能選手です。1歳下の弟ジョンテイも来年卒業予定の選手中ランク26位のセンター。元NBA選手の監督に惹かれてポーター兄弟がネイサン・ヘイルへ転校すると、ガーフィールドや近郊校からも有能選手が集まり、戦力が一挙にアップしました。
今春卒業するマイケルJr.は、ケンタッキーやデュークなど強豪校からのオファーを蹴り、6年連続でNCAAトーナメント出場を逃す可能性大のワシントン大学へ進学します。ワシントン大学は父がコーチを務めるチーム。監督のロレンゾ・ロマーは父の旧友で、マイケルJr.の名付け親でもあります。また弟のジョンテイもシアトルへ引っ越す前からワシントン大学への進学意志を表明しており、ロマー監督はコーチを雇った上に(おかげで?)、全米トップクラスの評価を受けるコーチの息子2人を獲得できたことになります。来季ワシントン大学へはガーフィールドのジェイレン・ノーウェルとデジョン・デービスも進学予定。いずれも全米トップ60位以内にランクされるシューティングガードで、ロマー監督の選手リクルート活動は大成功。来季はコートで実を結んで欲しいものです。
[スポーツウォッチング]