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マリナーズ・レポート2019 ありがとう、イチロー!頼んだぞ、菊池

米大リーグ開幕・シアトル・マリナーズ
ありがとう、イチロー!頼んだぞ、菊池

日本開催となったシアトル・マリナーズのシーズン開幕2連戦。東京ドームでの対オークランド・アスレチックス戦第2試合後、イチロー選手は現役引退を発表しました。またその日は、マリナーズに移籍した菊池雄星投手メジャー初登板の日でした。以下、菊池投手のメジャー・デビューの模様をレポートすると共に、イチロー選手のメジャー・デビューからの足跡をまとめました。

取材・文:窪田進一朗

 

新生Tモバイルパークに菊池投手登場!

 

サインも新しくなったばかりのTモバイルパーク

本拠地開幕戦の3月28日、試合前のセレモニーではシアトル出身の人気ラッパー、マックルモアが登場し、会場を盛り上げた。選手たちは名前が呼ばれると、グラウンドに敷かれたTモバイルのイメージカラーを使った「ピンクカーペット」を通って入場。もちろん、菊池選手の姿もあった。ボストン・レッドソックスの先攻で始まった試合では序盤、マリナーズが1回、2回と失点を許し、流れがレッドソックスに傾いたかと思われた。しかし、直後の2回裏のマリナーズの攻撃で、ティム・ベッカム選手の打球がレフトスタンドに吸い込まれると、球場はファンの歓声で揺れ、それまでの雰囲気も一掃された。そこから打線が爆発したマリナーズは5本のホームランを打ち、12 得点で快勝。球場に駆けつけた多くの地元ファン達を喜ばせた。

菊池投手、アメリカ初登板

菊池投手は3月29日、対レッドソックス戦に先発として登板。日本でのシーズン開幕戦に続き、アメリカで初登板となった菊池投手は6回を好投したが、チームは勝利を逃した結果に。前日には大量得点となったマリナーズ打線は初回から2本のホームランを打ち、菊池投手が降板した6回終了時点で6-3と、連勝できるかと思われた。しかし、抑えの選手陣が2本のホームランを打たれ逆転された。ファンたちの必死の応援もむなしく、6-7で試合は終了。菊池投手は試合後の会見で、本拠地シアトルでの初登板に関して「楽しみにしていたゲームだったし、一球一球楽しく投げられた。アメリカに来たんだ、ここで結果を出すんだという実感が湧いた」と話した。

初登板記者会見での菊池投手のコメント

アメリカ初登板の試合の感想

自信を持てる部分と、また(前シーズン優勝したボストン・レッドソックスという)世界一のチームの強さを実感した試合。プレッシャーは特になく、緊張よりも早く投げたいとい う気持ちだった。2度目の試合にはなるが、改めてアメリカで始めるという気持ちになった。

入場曲はシアトル出身のニルヴァーナ

自分では決めていなかった。自分で選んだということにしておいてください(笑)。

ホームランを打たれたこと

2本とも少し甘く入ったボールを完璧に捉えられた。力があるなと感じた。指にかかった良いボールも多かったので、そこは自信にしたい。1打席目のボガーツ選手に対しては、取りに行ったボールをあそこまで飛ばされて、置きに行くボールというのは強打者は見逃してくれないと感じたし、2本目は2アウトを取った後、ここからもう1度勢いをつけようと思ったボールが中に入ってしまい、そこを捉えられた。

ホームラン後に空振り三振を奪ったこと

マリナーズ・ファンの声援が後押ししてくれた。長打を打たれてしまうと、流れを渡すことになる。普段からできる限り三振を取って流れを切りたいと思っていた。結果的にそうなって良かった。

先発の役割を果たしたという評価について

前回、ストライク先行のカウントを作れず、いっぱいいっぱいのピッチングになってしまったので、そこを修正したいと思っていた。今日、無四球で行けて反省を生かせた。アメリカに来てから、左ピッチャーはみんなストレートが速いので磨いていかなければ。球速自体はは93.94マイル(約151キロ)だが、差し込めるボールも出てきていて、次につながる。指にかかったボールなら抑えられるという自信が付いた。

5回の併殺の場面

特に左バッターのアウトコースに関しては、見逃し三振はなかなか難しいと最初の段階で思った。そこは力でなんとか差し込みたいという風に切り替えた。あまりコースをきちきち狙わずに力で押したいと思いながら投げていた。

データと実戦での感じの違い

前回はレポート通りに投げられなかったが、今日はカーブでもストライクを取れていた。レポート通りに投げられれば崩せると感じたボールもあった。まずはデータを大事にしつつ、そこに投げ切ることも意識していきたい。

試合を通しての相手と自分の変化

バッターの慣れはある。スライダーだけでなく、カーブ、ストレートなど厳しくないボールでもフライを打ってくれる場面も出てきている。空振りが取れればベストだが、トータルで 考えているので気にしていない。自分も初めて投げるバッターだし、相手にとっても初めて打つピッチャーだと思う。データも重視しつつ、自分の球にどう反応しているか感じ取って柔軟に対応する。よそ向きのピッチングだけはしないように、自分の軸をしっかり持っていきたい。


降板後の逆転について

日本でもそうしていたが、自分の役割をきっちり全うして、その後応援することしかできない。今日も同じ気持ちで見ていた。負けてしまったことより充実感を感じている。レッド ソックスの強力打線を相手にするのを楽しみにしていたし、次につながる収穫も得られた。1イニング、1アウトでも多く取りたいという気持ちはあった。ただ、チーム方針や監督の意向もあるし、まだルーキーのピッチャーなので、もう1イニング行かせてもらえるよう、監督やコーチに信頼してもらえる成績を今後残していきたい。

 

後編は、「日米野球界のヒーロー、われらがイチロー!」です。

窪田 進一朗
北米報知社記者インターン。2018年に早稲田大学卒業後、同年9月からシアトルに留学中。趣味のボディビルは大学在学中から続けており、シアトルで行われた大会にも参加し た。メディアへの就職を考え、北米報知社で修行中。