この写真の男性を覚えていますか? 2014年までサンフランシスコ・49ersの監督だったジム・ハーボーです。2015 年からは母校ミシガン大学でアメフトチームの監督を務めています。今月2日、フロリダで行われたデトロイト・タイガース対ピッツバーグ・パイレーツのオープン戦に一塁コーチとして登場しました。
タイガースのユニフォームを着て現れたハーボー監督は満面の笑み。ファンと気軽に話したり、サインに応じたりする様子には正直驚きました。審判の判定に鬼のような形相で抗議したり、記者会見でぶっきらぼうに答える姿しか見慣れていなかったためです。子どもの頃はファウルボール回収マニアだったそうで、バックネット裏の特等席に招待されるようになった今も、球場へは必ずグローブ持参。それほどの野球好きだけに、この日は笑みがこぼれたのかもしれません。
試合はパイレーツのホーム開幕戦ながら、観客の大半はミシガン州を本拠地とするタイガースのファンや、ミシガン大学のファンでした。この日タイガースは2試合が予定され、主力選手はニューヨーク・ヤンキース戦へ向かい、パイレーツ戦には控えクラスの選手しか出なかったにも関わらずです。ハーボー監督の人気ぶりを物語っています。監督が就任するなり、ミシガン大学は負け越し成績から10勝3敗へと躍進。監督の知名度が高いだけに有能選手が続々と集まり、期待は高まるばかり。ライバル校には厄介な存在です。
ハーボー監督時代の49ersは、シーホークスにとって非常に厄介な存在でした。8年連続でプレーオフを逃していながら、監督就任初年度の2011年から3年連続でカンファレンス優勝戦へ出場。その間シーホークスは一度もサンフランシスコで勝たせてもらえませんでした。スーパーボウルで優勝した2013年でさえもです。そのスーパーボウル出場権を49ersと争ったカンファレンス優勝戦は、歴史的な名勝負となりました。リチャード・シャーマンのインターセプトで49ersの逆転勝利を阻止したあの試合です。
以後49ersは大失速。首脳陣との摩擦もあり、ハーボー監督が退団した後、後任監督も1月に解任。前フィラデルフィア・イーグルス監督のチップ・ケリーを新監督に迎えています。大学監督時代にキャロル監督に苦戦を強いたり、少し風変わりな点はハーボー監督と似ています。今季LAへ移転するラムズのように、シーホークスにだけは強いというチームは困りますが、毎回好試合が期待できた当時の49ersとの対戦は懐かしく感じられます。今季はあのライバル関係が復活するでしょうか? 久しぶりにハーボー監督の姿を目にし、ふとそう思いました。
[スポーツウォッチング]