肩が痛い
退職して6年、ピックルボールや社交ダンス、水泳で酷使してきた右肩が、5月の旅行を前に突然痛み出した。痛み止めと腫れ止めを交互に服用し、旅の間もピックルボールをプレーし続けたが、帰ると痛みはさらに激しくなった。
ピックルボール仲間たちが「どうしたの」と尋ねてくれる。話すと、若い人も含めて膝や肩の故障を経験しているのだった。ある日はプレーヤー28人中7人以上が肘や膝にサポーターを着用。映画「ターミネーター」ばりのプラスチック製サポートをはめてプレーする人も。そして「フィジオセラピーに行け」、「整骨医がいい」、「鍼を打ってもらえば」、「コルチゾン注射なら一発よ」などと教えてくれる。実はピックルボールを始めて間もなく坐骨神経痛を患い、2年間苦しめられたことがある。整体師に「健康で長生きするには、スポーツはやめて歩くのがいちばん」と言われたのを思い出す。スポーツは一種の中毒。いかついサポートを着けてまでプレーする人がいるように、容易に諦められるものではない。
医者に行くと「軽い腱炎」との診断。でも勧められたフィジオでは、首の脊髄もおかしいとのこと。主治医に話すと今度は「脊髄の間のディスクが摩耗して、そこから右肩に下りる神経が挟まれると腕も痛くなる。フィジオに通ってピックルボールもやりなさい」と、退行性の症状(今後も悪化するということ)と言いながらも苦しみ続ける私を軽くいなす。
フィジオに3カ月近く通ったが痛みは治まらない。「長年の積み重ねだから、回復にも時間がかかる」と言うが果たして本音なのかと疑念が頭をかすめる。しびれを切らして鍼治療に通うが、はっきり効果が見られない。それでも高価な漢方薬2週間分を飲み終えた頃から徐々に痛みが弱まり、ジムで運動できるまでになった。
主治医がようやく紹介してくれた骨と神経の専門医も訪ねたが、幸か不幸か痛みはかなり治まっていた。「手術は不要。マグネシウムを毎晩服用せよ」と言い、鍼のようなものも打ってくれた。これが効いたか、2日ほどで傷みが減る。肩こりの症状については「頭を支えるための肩の靱帯が弱くなっている。前かがみの姿勢で作業するときは15分ごとに姿勢を正して」とも言われた。姿勢が悪いのは知っていて、社交ダンスを始めた理由のひとつでもある。しかし、こんな基本的なことは他のクリニックでは言ってくれなかった。1カ月後、肩の痛みはほとんど感じなくなった。
多くの情報を分析していくと、体の故障を治すのは結局、自分の責任。医者やフィジオはそれを助けるだけ、ということがわかる。専門家から得た知識を取り込みつつ、「いつかは治る」と信じて治療やリハビリを続けていく以外にないのだ。万年青年と言われた私も、70を過ぎて身体が朽ち始めたか?