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肩が痛い

肩が痛い

今年もバンクーバーに美しい秋が訪れた71歳の誕生日を迎えこれからは休み休みピックルボールをプレーするのが賢明

退職して6年、ピックルボールや社交ダンス、水泳で酷使してきた右肩が、5月の旅行を前に突然痛み出した。痛み止めと腫れ止めを交互に服用し、旅の間もピックルボールをプレーし続けたが、帰ると痛みはさらに激しくなった。

5カ月間痛みが続いた右肩当初は右肩の後ろが痛いと医者に行ったが複雑なケガであることがわかった

ピックルボール仲間たちが「どうしたの」と尋ねてくれる。話すと、若い人も含めて膝や肩の故障を経験しているのだった。ある日はプレーヤー28人中7人以上が肘や膝にサポーターを着用。映画「ターミネーター」ばりのプラスチック製サポートをはめてプレーする人も。そして「フィジオセラピーに行け」、「整骨医がいい」、「鍼を打ってもらえば」、「コルチゾン注射なら一発よ」などと教えてくれる。実はピックルボールを始めて間もなく坐骨神経痛を患い、2年間苦しめられたことがある。整体師に「健康で長生きするには、スポーツはやめて歩くのがいちばん」と言われたのを思い出す。スポーツは一種の中毒。いかついサポートを着けてまでプレーする人がいるように、容易に諦められるものではない。

医者に行くと「軽い腱炎」との診断。でも勧められたフィジオでは、首の脊髄もおかしいとのこと。主治医に話すと今度は「脊髄の間のディスクが摩耗して、そこから右肩に下りる神経が挟まれると腕も痛くなる。フィジオに通ってピックルボールもやりなさい」と、退行性の症状(今後も悪化するということ)と言いながらも苦しみ続ける私を軽くいなす。

わが右肩前部の腱炎超音波検査結果を医者が描いて説明してくれた

フィジオに3カ月近く通ったが痛みは治まらない。「長年の積み重ねだから、回復にも時間がかかる」と言うが果たして本音なのかと疑念が頭をかすめる。しびれを切らして鍼治療に通うが、はっきり効果が見られない。それでも高価な漢方薬2週間分を飲み終えた頃から徐々に痛みが弱まり、ジムで運動できるまでになった。

骨と骨をつなぐ靭帯骨と筋肉をつなぐ腱を修復強化するため毎晩マグネシウムを取るように言われたサプリメントの数が徐々に増える

主治医がようやく紹介してくれた骨と神経の専門医も訪ねたが、幸か不幸か痛みはかなり治まっていた。「手術は不要。マグネシウムを毎晩服用せよ」と言い、鍼のようなものも打ってくれた。これが効いたか、2日ほどで傷みが減る。肩こりの症状については「頭を支えるための肩の靱帯が弱くなっている。前かがみの姿勢で作業するときは15分ごとに姿勢を正して」とも言われた。姿勢が悪いのは知っていて、社交ダンスを始めた理由のひとつでもある。しかし、こんな基本的なことは他のクリニックでは言ってくれなかった。1カ月後、肩の痛みはほとんど感じなくなった。

バンクーバーに引っ越した2014年初頭には稀であったピックルボールのプログラムは今や当地のコミュニティーセンターのほとんどで広く採用されプレーヤー数は増え続けている

多くの情報を分析していくと、体の故障を治すのは結局、自分の責任。医者やフィジオはそれを助けるだけ、ということがわかる。専門家から得た知識を取り込みつつ、「いつかは治る」と信じて治療やリハビリを続けていく以外にないのだ。万年青年と言われた私も、70を過ぎて身体が朽ち始めたか?

肩の故障で一時は諦めかけた趣味のピックルボール5カ月経ってやっと元に戻ってきた
武田 彰
滋賀県生まれの団塊世代。京都産業大学卒業後日本を脱出。ヨーロッパで半年間過ごした後シアトルに。在シアトル日本国総領事館に現地職員として39年間勤務。政治経済や広報文化などの分野で活躍。ワシントン大学で英語文学士号、シアトル大学でESL教師の資格を取得。2013年10月定年退職。趣味はピックルボールと社交ダンス。