今やシアトルの音楽シーンに欠かせないイベントとなった、今年で7 回目を迎える「セレブレートアジア」が3 月1 日、シアトルダウンタウンのベナロヤホールで開催された。
恒例のプレコンサートでは、ベルビュー・チルドレンズアカデミーの子どもたちによる合唱、インドのフォークダンスやボリウッドダンス、台湾のダンスグループによる伝統的ダンスと歌、シアトルのカンフー学校によるカンフー実演とライオンダンスが披露された。
メインコンサートは、シアトルシンフォニーによる、映画『南太平洋』の序曲で開幕。指揮者はこれまでに何度も同イベントで指揮をしてきたキャロリン・クアンさん。切れのいい指揮とユーモアに富んだMC で人気を博しており、聴衆から大歓迎を受けた。
今年は、作曲家、菅野祐悟さんが作曲した『箏と尺八と管弦楽のための協奏曲 Revive』が、日本国外で初めて演奏された。箏、尺八にオーケストラが加わるという珍しい試みのこの曲は、東北の復興への願いを込めて作曲されたもので、演奏のためにゲストアーティストとして箏演奏家の遠藤千晶さん、尺八演奏家の藤原道山さんが日本から招かれた。協奏曲は第1 楽章「Sunrise(日の出)」、第2 楽章「Pray(祈り)」、第3 楽章「Future(未来)」から成り、各楽章のメッセージが聞くものにまっすぐに伝わってくる感動的な楽曲。箏と尺八それぞれが奏でる繊細でありながらもダイナミックな音色に圧倒され、スタンディングオベーションとなった。
アンコールでは箏と尺八のソロとデュエットを披露。道山さんはクアンさんの質問に答えて、尺八のテクニックを実演付きで解説し、聴衆をうならせていた。
コンサート第2 部は映画『スラムドッグ$ ミリオネア』のテーマ曲、今年の作曲コンテストの優勝者Ye Canchen さんの『Xizi』がシアトルシンフォニーによって演奏された。最後に同シンフォニーのチェリスト、ミーカ・フアン・ディロレンゾさんが映画『グリーン・デスティニー』より2 曲を演奏。
ポストコンサートでは、太鼓グループ「ちきり」と「太鼓の学校」による勇壮な太鼓演奏が繰り広げられた。
取材・文:越宮照代 写真:Brandon Patoc Photography