実りの秋、食欲の秋、到来。日本人の舌と胃袋を満足させるのは、やっぱり日本食!
シアトル界隈の店からおすすめの品々を紹介してもらいました。読者特典もお見逃しなく。
取材・文:室橋美佐、磯野 愛、上田あずさ、ハーモニー・ケリー、ハントシンガー典子、栗原澄也
かもねぎ Kamonegi
~数々の賞を受賞、試行錯誤を重ねた至極の手打ちそば~
2017年10月にオープンし、主なグルメ専門雑誌、ウェブサイトによる「ベスト・ニュー・レストラン」賞を総なめにしている話題の店。相馬睦子オーナー・シェフは、シアトル唯一のそば職人としてその名をとどろかせているが、実は多彩なバックグラウンドを持つ。シアトルで調理学校を卒業後、市内のスペイン料理、フランス料理各店でシェフを務め、東京ではソムリエも経験。それだけに、相馬シェフにしかできない技を駆使した、新感覚の和食が豊富にそろう。
たとえば「エビ天ぶっかけそば」は、いろんな食感が楽しめる人気のそばメニュー。サクサクに揚がった衣に中身がぎっしり詰まったエビ天は食べ応え抜群。こしのある、のど越しの良い二八そばは、キュウリ、ネギ、シソ、海苔、ラディッシュなどの薬味で、よりおいしさが際立つ。驚くのは「アボカドとそば」という意外なコラボレーション。アボカドに含まれる良質なオイルと、2年間熟成した本枯節のカツオ節がベースとなったざる汁が、口に中で溶け合い、凝縮したうま味が広がる。
また、サイド・メニューの「フォアグラ豆腐」は、相馬シェフのフレンチ経験が生かされた1品。大豆の代わりにフォアグラを使って作られた豆腐は、脂っこさがなくクリーミーで、なめらかな舌触り。フォアグラと相性の良い、イタリア産黒トリュフのオイルが隠し味で、香り豊かに演出。良質なだしが全体の味を引き締め、バランス良くまとまっている。
この秋の新メニューとして、大豆を使ったフェイク・ミートが主役の「インポッシブル・タンタン」も登場。健康志向ブームが続くシアトルで、「ベジタリアンやビーガンの方にも楽しんでもらえるそばを作りたい」と、考案したそう。肉代わりのフェイク・ミートは、ピリ辛に味付けされ、普段肉を食べている人でも満足できる仕上がり。MSG不使用の自家製ゴマ・ドレッシングとラー油をかけていただく。
「だしは厳選した材料を日本から取り寄せて作っています。飲んでもおいしい、満足できるものしか出しません。天ぷらには地元で採れたオーガニック野菜を使っています」と、ひとつひとつのこだわりについて熱く語る相馬シェフ。おいしい食事と共に素敵な秋の夜を過ごしたい、とっておきの店だ。
かもねぎ Kamonegi
1054 N. 39th St., Seattle, WA 98103
営業時間:火~木4pm~10pm、金土4pm~11pm
定休:日月
☎206-632-0185
ウェブサイト:www.kamonegiseattle.com