寒くなると体のあちこちで変調が出がち。ホリデー・シーズンを気持ち良く過ごすためにも、気になる悩みは今のうちに解決しておきましょう!シアトル周辺のクリニックや組織で活躍するドクター、ナースプラクティショナーに話を聞きました。
取材・文:ハントシンガー典子
1.フルショットは必要? インフルエンザ対策
2.今のうちから対策を、アレルギー症状
3.腰回りの痛み、その原因は一体?
4.歯のトラブルは今年のうちに
5.基本をおさらい「アメリカの医療システム」
▶東洋医学療法士・中島敦子先生が解説するアレルギー
1. 風邪かと思っていたら、実はアレルギー症状?
長い間、風邪に似た症状を引き起こしている原因は、アレルギーかもしれません。東洋医学では、経絡と呼ばれる気(エネルギー)の通り道が体内にいくつもあると考えられており、心身の不調、いろいろな病気はその経絡と各経絡に含まれる臓器や器官の不調により起こると考えられています。アレルギーもそのひとつ。アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮
膚炎、気管支喘息などは、経絡の中でも特に肺経、腎経の不調で起こります。
気が滞ると血液やリンパ液など体内の水分も滞り、熱や余分な水が体に溜まっていくと、咳、たん、鼻水、皮膚の発疹、炎症、かゆみ、乾燥、目のかゆみなどの症状として現れます。生まれ持った体質で、肺経、腎経が弱い場合、ストレス、不規則または偏った食事、不摂生な生活が、気を弱めたり滞らせたりする原因にもなります。ストレスを溜めないようにして、規則正しい生活、食事を心がけることが、こうしたアレルギー症状の改善につながります。
肺経は秋、腎経は冬と深く関係します。今の季節に肺経を強めることが、春の花粉症の予防にもなります。肺経を強めるには大根、玉ネギ、白ネギ、山芋、レンコン、白ゴマなどの白い食材、腎経を強めるには黒ゴマ、黒豆、黒米、昆布などの黒い食材を意識して取るようにします。
2. 食物アレルギーには、子どもだけでなく大人も注意!
食物アレルギーは年齢に関係なく起こります。今まで大丈夫だった食べ物でも、ある時期から急にアレルギー症状を引き起こすことがあります。コップに水を注ぐと次第にあふれ出すように、症状が出始めるのです。
まずは原因となる食材を特定して、それを避けることが改善への早道。特定ができても、できなくても、他のアレルギー同様に経絡の不調を整えることで症状が和らぎ、治る可能性があります。そのバランスを整えて、消化器官を強くすることが大切です。
毎日繰り返し同じ物を食べると、その食品のアレルギーになりやすいので避けましょう。間食が多いと、胃腸は常に働くことになり、だんだん弱ってしまいます。仕事や勉強をしながら食べるのは控えてください。
また、濃い味付け、白砂糖、化学調味料、添加物、残留農薬、痛み止めなどの薬は、胃腸の壁を傷付けます。その傷ついた消化器から、アレルギーの原因となる物質が入り込むことに。肌荒れや傷のある手で食品に触ることが多いと、同じことが起きますので、買い物や調理の際は気を付けましょう。
3. アレルギーのない体づくりは普段の食事から
「医食同源」という言葉通り、何を食べるかがとても大切になります。特に腸の健康は皮膚、呼吸器に大きく影響します。皮膚に症状がある場合は、白砂糖とアルコールは避けてください。良い腸内細菌(善玉菌)を増やすために、納豆、ヨーグルト、ぬか漬けなどの発酵食品を毎日の食事に取り入れましょう。
善玉菌のえさとなる食物繊維を取ることで、さらに良い腸内環境を作ることができます。野菜をたくさん取るほか、白米を減らして玄米を混ぜるのも効果的です。市販のぬかに適量の塩、水の代わりにビールを混ぜてぬか床を作ると、その日から野菜を漬けることができます。冷蔵庫で保管すれば毎日混ぜなくても大丈夫。野菜は加熱調理がおすすめです。生野菜を食べ過ぎると胃腸を弱めてしまいますので、短時間蒸すか、オーブンでローストすれば簡単で、しかも栄養素はそれほど損ないません。生で食べるより量も食べられます。地元の旬の野菜で、できるだけ無農薬の物を、毎日の献立に多く取り入れましょう。肉類の3倍の野菜が目安です。
「痛気持ちいい」強さで5秒圧(お)して3秒休む。これを5、6回繰り返してください。息を吐きながら圧して、吸いながら休むというように呼吸に合わせます。
1. 合谷(ごうこく)
手の甲の人差し指と親指の間にあるツボ。鼻や目の症状、頭痛に効果あり。
※子宮収縮を促す恐れがあるので妊婦はNG。
2. 足の三里
膝の皿の下から指4本分下のくぼみにあるツボ。鼻の症状ほか、消化器や免疫力強化に。
● 呼吸法
腹式呼吸で深呼吸します。胸ではなくお腹を空気を吸った時に膨らませ、空気を吐く時に引っ込めるように、ゆっくりと鼻から吸って口から長めに吐きます。
中島敦子 Atsuko Nakajima, EAMP, LAc, CNA, DVM
ワシントン州公認鍼灸師・東洋医学療法士。1963年奈良県生まれ。青年海外協力隊員としてアフリカで活動後、動物病院で勤務した経験を持つ。ナーシング・アシスタントの資格も取得。東洋医学、西洋医学にこだわらず、「効くこと、できることは何でも取り入れて治す!」がモットー。
中島はり指圧治療院
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