2 月26 日、レドモンドのウィローズ・プレパレートリースクール(ベルビュー・チルドレンズアカデミーの分校)の体育館で、東北の子どもたちを支援するための募金夕食会「東北リヴァイヴ」が開催された。企画したのは、シアトルシンフォニー理事の峰岸良彰さん、ベルビュー・チルドレンズアカデミー代表の清水楡華さん、非営利団体JENの藤田佳予子さん、中島久代さんの4 人。会場には趣旨に賛同した人々約220 人が詰めかけた。東日本大震災発生からすでに4 年。被災地のことは忘れ去られがちだが、現状は完全復興にはほど遠い。中でも子どもたちが心理的に受けた後遺症は大きく、中学生の不登校などの深刻な問題となって現れている。そうした被災地の子どもを支援しようと、シアトル在住の有志が集まって企画したのが同イベントだ。会場では、JEN 理事代表の黒田由貴子さんが東北の現状について報告。JEN の用意したビデオで、被災地の様子が会場の大スクリーンを通して映し出され、地元の人々が世界各国語で「ありがとう」と言う表情が大写しになり、涙を誘った。
この日は、日本からのゲストとしてNHK 大河ドラマ『軍師勘兵衛』の作曲を担当した菅野祐悟さんが招かれ、同ドラマのテーマ曲など数曲をピアノで演奏。さらに友人であるシアトルの眼疾患の新医療薬開発会社アキュセラ代表、窪田良さんのインタビューによって、菅野さんの作曲家としての様々なエピソードや裏話が披露され、会場は驚きと笑いに包まれた。
菅野さんはスピーチの中で、震災直後、芸術家である自分には何もできないという思いでいた時に峰岸さんから作曲を依頼され、東北復興への祈りを込めて『箏と尺八と管弦楽のための協奏曲 Revive』を作曲したと語り、同協奏曲の第2 楽章「祈り」の一部を演奏した。この曲は3 日後の「セレブレートアジア」で箏、尺八、オーケストラによって演奏された(下記事参照)。イベントは地元の太鼓グループ「ちきり」の迫力ある演奏で幕を閉じた。
実収益、約3 万ドルが、ワシントン州日米協会を通じて日本の非営利団体JEN に寄付され、被災地の子どもたちの支援に用いられることになっている。 イベント共催・協賛:在シアトル日本国総領事館、ワシントン州日米協会、デルタ航空、ベルビュー・チルドレンズアカデミー、アキュセラ、UIEvolution、宏徳エンタープライズ、Japan Creative Arts、JEN、PSP チルドレンズ基金
取材・文:越宮照代 写真:佐々木志峰、越宮照代