シアトル地域レドモンドを拠点に活躍するプライベート・トレーナーの島田耕太さんが、自宅でできるトレーニング法を解説します。
美ボディーをつくるトレーニング
3つのストレッチで肩こり解消
人間は作業するときに腕を使います。長時間にわたって作業すると同じ姿勢が続き、血行が悪くなって肩こりにもつながります。パソコンやスマートフォンの使用、家事、運転など、日常でどうしてもやらなくてはいけない行動が肩こりを招き、偏頭痛や腰痛などを引き起こします。肩こりが原因で病院に行くことはまれですが、それでも日常生活に支障が出るのは確かです。
では、肩こり自体はどうして起こるのでしょうか? 血行が悪いこと以外にも、肩こりの人に共通している点が3つあります。1つ目は肩こりの症状である「コリ」の位置です。それは僧帽筋(そうぼうきん)の上部分。肩こりの人は、ここが固くなっています。
2つ目は、この僧帽筋がつながる関節部分である肩甲骨の可動範囲が制限されている点。同じ姿勢の作業、特に座り作業を長時間行うと姿勢が前かがみになります。頭と肩の重さで僧帽筋が収縮したような状態になると、肩が耳の位置まで上がり、その結果、肩甲骨の可動範囲が狭まります。
また、僧帽筋は頭蓋骨下部にもつながっています。この頭蓋骨の可動範囲が制限されているのが、3つ目の共通点です。肩こりで僧帽筋が固くなると、前述の通り肩が耳に近付くと同時に、あごが前に突き出た姿勢となり、首の可動範囲が狭まります。
もともと姿勢が正しい人でも、肩を下げ、顎を引いた姿勢を長時間維持できるでしょうか。人体の構造上、よほど意識をしていない限りは難しいようです。肩こり解消のためには、首と肩甲骨の可動範囲を広げ、僧帽筋周りの血行を良くすることです。今回は首と肩甲骨を動かしていくエクササイズを3つ用意したので、ぜひお試しください。
右のエクササイズは血行を促し、筋肉や関節の動きを正常に戻すために行います。1日の終わりに1、2セット行えば十分です。たくさんやり過ぎると疲労がたまってしまうので、注意しましょう。シャワーを浴び、体が温まってリラックスした状態で行うのが理想です。
コロナ禍でのリモートワークが長期にわたり、肩こりが気になるという方は少なくないのではないでしょうか。肩こりのひどい人は、ほぐすのに時間がかかりますが、1、2週間続ければ、効果が実感できるでしょう。
今月のトレーニング
STEP 1
首下げストレッチ 60秒
このストレッチは、頭の重さを利用して首周りの筋肉と脊椎間を伸ばします。まずは、ソファーやベッドの端に仰向けの状態に寝ます。頭から肩まで端からはみ出るようにしたら、そのまま頭を落とし、首周りをストレッチします。写真の姿勢で60秒間キープしましょう。頭に血が上る状態となるので、最初のうちは10秒から始めてください。
STEP 2
頭抱えストレッチ 60秒
楽な姿勢で座ります。あごを引き、両手で頭を抱え込むようにして前に頭を下げます。この際、両手は髪の生え際辺りに当て、頭を首から引き離すイメージで軽く引っ張りましょう。ストレッチの際、背筋が曲がっていても問題ありません。
STEP 3
ATYエクササイズ 12回ずつ
肩甲骨を3つのアルファベットの形状に沿って腕を動かしながら可動範囲を広げるエクササイズです。肩甲骨がしっかりと動いていることを確認しながら行ってみてください。
●A:腕は体から若干離し、真っすぐ伸ばしてAをイメージした姿勢に。そのまま腕を前から後ろに動かします。腕を後ろに持ってくる際に、肩甲骨が動いていることを確認しましょう。
●T:肩の高さで腕を真っすぐ伸ばして、Tをイメージした姿勢に。そのまま腕を前から後ろに動かします。Aと同様に、腕が後方に回っている時の肩甲骨の動きを意識しながら行いましょう。
●Y:Yをイメージして両腕を上げた状態から肩甲骨を前後に動かします。腕は頭から若干離すと、肩への負荷が軽減されます。
※健康上の不安がある場合は、必ず医師に相談のうえ行うようにしてください。
※同記事は、インディアナ州立大学でエクササイズ・サイエンス修士を取得し、フィットネスおよび栄養コーチングの指導を行う島田耕太さんが、資料や経験を元に執筆したものです。
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