「アンチエイジング」(抗加齢)という言葉はすっかり浸透し、最近は「リバースエイジング」という言葉も聞くようになりました。つまり、若返りです。実はトレーニング業界では、肉体年齢を若返らせることは可能と、20年以上も前から研究が行われています。
人間にはいくつかの年齢があります。実年齢については時を戻す手段がない現在、若返らせることはできませんが、肌年齢、精神年齢など、年齢を判断する基準はほかにも存在します。そのひとつである肉体年齢は、2つの基準で判断されます。それは、筋肉量と筋力。筋肉は筋トレや重労働の作業で壊れると再構築され、より強く成長します。その過程で、たんぱく質、野菜、オメガ3などの重要栄養素が加わることで、肉体労働にも耐えられる体になります。逆に、体を動かさない、もしくは労働をしてダメージを受けた体に栄養をきちんと与えないと、筋肉は弱くなり、体は老化。筋肉の死「サルコペニア」につながります。
高齢者(80〜90歳)を対象に週3日、1日45分の筋トレを12週間行ったところ、55歳くらいと変わらない肉体に戻すことができたとする研究もあります。肉体年齢を若返らせると何の得があるのか? まず、好きなスポーツを痛みなく続けられるというメリットが考えられます。小さな子どもがいるなら、一緒に遊べる、体力的についていけるということもあるでしょう。また、高齢者の旅行では自由度が高まります。完全サポートのツアーもありますが、体の不自由な方は行けるところも限られてきます。
肉体年齢の若返りは、日々のちょっとした習慣の改善で可能。今回は効率良く体全体の筋肉を刺激できる3つのエクササイズを紹介します。3、4回繰り返しましょう。エクササイズ後は必ず呼吸と心拍数を落ち着けて、体のリセットを。食事管理も同じく重要。小麦粉や砂糖などの炭水化物を極力減らし、野菜、肉、魚を中心にさまざまな自然食材を食べるように心がけましょう。
今月のTraining
STEP 1
ランジ 左右10回ずつ
まず、前後に足を開きます。股関節を使いたいのでできるだけ開きましょう。そして、後方の膝を床につけるように体全体を真っ直ぐ下げます。前足のかかとが浮かないように注意してください。後方の足はつま先でバランスを取ります。10回終わったら足を左右入れ替えて再度行ってください。膝に違和感がある方、バランスに自信のない方は何かにつかまってもOK。慣れてきたら手を放して行ってみましょう。
リリース腕立て 12回
リリース腕立ては通常、腕立て伏せをマスターする過程で行うのですが、腕の可動範囲が広いため、初心者にも上級者にも有効です。まずは腕立ての状態からゆっくり、3~5秒かけて体を床に下ろしていきます。この際、腰が下がらないように気を付けましょう。体が完全に床についたら、腕を横に1度伸ばした後、腕立て伏せの位置に戻し、体を押し上げます。必要に応じて、膝でサポートしてください。
STEP 3
バンド・ロウ 15回
必要道具:バンド
エクササイズ用バンドを使う背筋の運動です。やや物足りないですが、靴下やパンストなどでも代用できます。まずはバンドを固定し、腕を伸ばした状態から肩甲骨が動くようにして腕を引きます。肩が上がらないように注意しましょう。コツとしては、あごを若干上げ、胸を張ること。引いた後、腕を伸ばした状態を2、3秒キープしてください。上体が引っ張られないように、腹筋でサポートしましょう。
※健康上の不安がある場合は、必ず医師に相談のうえ行うようにしてください。
(写真:Kota Shimada)