シアトル地域レドモンドを拠点に活躍するプライベート・トレーナーの島田耕太さんが、自宅でできるトレーニング法を解説します。
美ボディーをつくるトレーニング
免疫力強化は生活習慣から
全世界で新型コロナウイルス感染が拡大しています。ワシントン州でも多くの感染者が出て、亡くなった方も増える一方です。学校、仕事、公共施設などに大きく影響し、普段通りの生活ができない状態の中、ニュースやメディアでは手洗い、他人との接触を避けるなど感染予防策を毎日のように呼びかけています。予防ができればそれに越したことはないのですが、もし、かかってしまったら、皆さんの現在の健康状態で新型コロナウイルスに対抗できますか? 統計的には新型コロナウイルスで大きく影響を受けるのは、今のところ高齢、高血圧、心肺機能の病気や糖尿病など持病がある方と言われています。個人的には、その1歩手前でも注意すべきと考えます。
その理由は「インスリン抵抗性」です。英語ではInsulin Resistance(IR)と呼ばれます。このIRは基本的な血液検査では診てもらえません。IRの場合、体内でのインスリンの働きがにぶくなり、すい臓のインスリン分泌が追い付かず、やがて機能が衰え、血糖値上昇につながります。そのため、血糖値でIRを判断されることになるのですが、それまで自覚症状はなく、基本的な血液数値も正常でありながら、徐々に免疫力は低下します。最終的に高血圧、高コレステロール値、甲状腺機能低下症、認知症、心臓発作などを引き起こすというのは、さまざまな研究でわかっています。
免疫力強化はいかにインスリンをコントロールできるかにかかっています。では、そのインスリンをコントロールする方法とは何でしょう。感染症に対して私たちができることは3つです。
- 予防:手洗い、うがい、換気など
- 体調管理:運動、食習慣や睡眠習慣の改善
- 何もしない:今自分ができることにフォーカス
新型コロナウイルスは危険ですが、人間の免疫力はそれ以上に強いと信じています。高齢者に向けた注意喚起は、個人的には少しニュアンスが違うと思っていて、免疫力低下の状態であることが、重篤化する方のいちばんの共通点なのではと考えています。実際に、高齢で新型コロナウイルスに感染しても問題なく回復した方もいます。もちろん、わからないことだらけではあるのですが、今自分にできる最大限のことを行いましょう。生活習慣や免疫力は自分の意志で改善することも壊すこともできます。辛い時期も生活習慣を見直す良いきっかけと考え、次に紹介する3つの改善により乗り越えましょう。
今月のトレーニング
STEP 1
食習慣
糖質や、小麦粉など高炭水化物中心の食事はインスリンに大きく作用するため、できるだけ避けましょう。甘い物、揚げ物、果物、ジュースなども、インスリン値を他の食材より大幅に上げてしまいます。目安としては、ご飯や麺類などを1日1食とし、あとは野菜中心の食事に変えること。野菜は抗酸化物質が多く含まれているので、たくさん摂取しましょう。ほかにも増やしたほうがいいのは、塩分です。塩分は血圧を上げると言われますが、実は正式な研究結果では証明されていません。逆に、塩分が足りていないと、心臓や血管、腎臓への負担が増え、インスリンのさらなる分泌へとつながります。しょう油や味噌もいいのですが、ミネラルを豊富に含む海塩がおすすめ。アメリカでは1日2.3グラムを制限としていますが、人間の腎臓はその10倍以上の塩分を余裕で扱えるそうです。
STEP 2
睡眠
1回の睡眠不足でもIRの状態になるとされています。もちろん一時的なものなので、仮眠を取ったり、翌日に正しい睡眠時間を確保したりするだけでも収まります。ですが、現在は新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために学校は休校となっていますし、仕事も家でやれる状態。そうなると、人間というものはどうしても睡眠習慣がだらけてしまいます。こういう時だからこそ、規則正しい睡眠習慣を心がけていきたいものです。必ずしも8時間寝なければいけないとは思いません。人によって回復力は変わってくるので、自分のリズムで規則正しい睡眠習慣を徹底しましょう。
STEP 3
運動
日本では多くのジムが一時的に閉店しているようです。アメリカでも多くのジムに影響が出ています。感染拡大を防ぐという意味で、それは仕方ないとは思うものの、全く運動をしないのでは、かえって健康状態を悪化させます。トレーナーとして、この状況をなかなか受け入れられずにいます。運動のメリットとして、体を動かして免疫力を上げるというのもあるのですが、外出制限中でも体を動かすことでストレスを発散する効果も期待できます。可能な限りトレーニングを続け、ガンガンに免疫力を高め、溜まったストレスもスッキリさせましょう。
※健康上の不安がある場合は、必ず医師に相談のうえ行うようにしてください。
※同記事は、インディアナ州立大学でエクササイズ・サイエンス修士を取得し、フィットネスおよび栄養コーチングの指導を行う島田耕太さんが、資料や経験を元に執筆したものです。