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ビタミンDと虫歯の関係 1148

ビタミンDは健康な骨の成長や維持に欠かせない栄養素として知られていますが、歯との関係については、骨ほどはわかっていません。ここ最近の研究では、歯の形成時にビタミンDが不足すると虫歯になりやすい歯になることが、わかってきました。今回は、ビタミンDと虫歯の関係を中心に解説していきたいと思います。

ビタミンDの作用

ビタミンDは通常、皮膚でプロビタミンD3が合成され、食事によっても摂取されます。皮膚でプロビタミンD3が合成されるには日光を浴びることが必要です。このビタミンDが、まず肝臓で25位が水酸化され、25(OH)D3となります。その後、腎臓で活性型ビタミンD3が合成されます。活性化されたビタミンDには、腸からのカルシウムの吸収を高めたり、腎臓でカルシウムの血中から尿への排出を抑制するなどして、血中のカルシウム濃度を高くする作用があります。 また骨では、短期的には血中にカルシウムの放出を高める作用がありますが、長期的には骨の代謝を活発にして丈夫な骨を作る作用があります。 この他、ビタミンDには、免疫、癌、うつ、心疾患、歯周病、糖尿病、神経系など多様な役割があることがわかってきており、多方面で研究が進められています。

ビタミンDと虫歯

2013年のワシントン大学(University of Washington)の研究では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで行われた24の臨床報告(2~16歳までの約3,000人の子ども。平均年齢10歳)におけるビタミンDレベルと虫歯の関係を文献的に分析し、ビタミンDレベルが高いと虫歯の発生率が50%少ないことを明らかにしました。 2014年、カナダ、マニトバ大学(University of Manitoba)の研究において、207人の妊婦(平均年齢19歳)のビタミンDレベルと被験者の子どもが1歳時の虫歯の関係を調べ、被験者のビタミンDレベルが低いとその子どものエナメル質の形成不全と虫歯の発生率が高いことを明らかにしました。

大人になってからもビタミンDは虫歯の予防に重要か?

一旦歯が形成されてしまってからビタミンD欠乏になった場合、もう歯の石灰化は基本的に終わっていますので、歯が弱くなって虫歯になりやすいとは考えにくいと思われます。しかし、これに関してはまだよくわかっていません。あるいは、大人になってからもビタミンDは重要だという研究結果が出てこないとはいえません。前述したように、ビタミンDは全身の組織、臓器の機能維持に関わっているようです。ビタミンD欠乏にならないよう、食事や日光を浴びるなど、日々の生活に注意して健康な毎日を過ごしたいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748