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唾液検査が注目されている

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

唾液検査が注目されている

唾液は無侵襲(被検者に負担をかけず随時に採取できる)の検査材料として貴重です。歯科では、虫歯予防など唾液の重要性が昔から認識されており、最近では虫歯リスクや歯周病進行度の判定に使われています。医学の分野では、同じく無侵襲で採取できる尿ほど利用されていませんでしたが、近頃は唾液に注目しているようです。

虫歯のリスク検査

  1. ミュータンス菌数:虫歯発生の主役級細菌 であるミュータンスの唾液中菌数を測定。
  2. 唾液緩衝能:糖質摂取により酸性に傾いた唾液が中性に戻る能力を判定。
  3. 唾液量:規定時間内に出る唾液の量を調べる。分泌が少ないと虫歯になりやすい。
  4. ラクトバチラス菌:できた虫歯を大きくすることに関与する菌の数を調べる。

歯周病の検査

歯周病による歯肉出血の指標となる唾液 中のヘモグロビン(Hb)や歯周病による組織 破壊の指標となる乳酸脱水素酵素(LDH)を 測定するキットが製品化されている。歯周 ポケットから出る炎症性サイトカインの量 を測定することもある。

唾液を用いたストレスや疲労度の検査

  1. アミラーゼ値:唾液に含まれる消化酵素のアミラーゼは、ストレスを受けると多く分泌されるという特徴がある。唾液のアミラーゼ濃度がストレスによる交感神経の興奮と密接に関係することを利用。
  2. クロモグラニンA:ストレスにより交感神経が興奮し、そこから分泌されるタンパク質の一種が上昇。唾液にも分泌される。
  3. コーチゾール値:ストレスがかかると副腎皮質ホルモンであるコーチゾールの分泌が高まり、血中や唾液中の濃度が高まる。
  4. ヒトヘルペスウイルス6、7(HHP-6、7)値:疲労が蓄積すると体内に潜伏してい たヒトヘルペスウイルスが再活性化。中でも唾液中に出やすいヒトヘルペスウイルス6や7の値を測定し、疲労度を判定。 東京慈恵会医科大学の近藤一博教授によって発見された。

唾液によるがんのスクリーニング

自分で採取した唾液を指定された病院に送付し、すい臓・大腸・乳腺・肺・口腔などのがんリスクを判定する簡易キットが製品化されている。

唾液を用いた遺伝子解析により、 病気のなりやすさを検査

唾液を用いた遺伝子検査により、病気のなりやすさや体質を判定するキットが数社から発売に。なりやすい疾患を予測できるため、予防に役立つとされる。

まとめ

今回は、歯科や医科で注目を集める唾液検査について書きました。唾液を使い、虫歯や歯周病だけでなく、がんのスクリーニングなどいろんな検査ができます。

興味のある方は、歯科医や医師に相談してみてください。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748