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自分の歯とインプラントをつなげるブリッジは可能?

土台となる既存の歯に被せて橋桁のように義歯を装着するブリッジ治療。歯科の臨床において、天然歯(自分の歯)とインプラント(埋め込むタイプの義歯)を連結する形のブリッジ(天然歯−インプラント・ブリッジ)を計画したくなるケースがあります。現在でも、専門家の間で多少意見が分かれており、いろいろな観点からあまり勧めないとの意見が大半だろうと察します。今回は、支える歯が、天然歯とインプラントが混在した形となるブリッジについて書きたいと思います。

天然歯−インプラント・ブリッジの利点

インプラントの本数を減らせるので、より経済的。ブリッジの歯は、抜けた部分の骨の量が十分でない場合にも、骨移植など他の手術なしで作製できるなどの利点があります。

天然歯とインプラントの違い

健康な天然歯の場合、歯とそれを支える骨の間には、歯根膜という靭帯のような組織が存在します。0.1Nの荷重がかかった場合、約200ミクロンメーター動く(沈む)と言われています。一方、インプラントと骨は歯根膜なしで直に接するため、0.1Nの負荷がかかっても、ほとんど動きません。せいぜい、骨の弾力に基づく、10ミクロンメーターまでしか沈まないと言われています。

天然歯とインプラントの性質の違いから発生する問題点

ブリッジを支える柱の一方が少し動き、他の一方はほとんど動かない状況を想像してみてください。道路のブリッジでこのような状態では、まず造らないのではないでしょうか?口の中も同じで、荷重的に非常に不安定で、複雑な状態になることは想像に難くありません。長期間続くと、

  1. インプラント自体が壊れる
  2. 天然歯が骨のほうに沈んでくる
  3. ブリッジを着けるセメントが壊れて、ブリッジが外れてくる
  4. ブリッジを支える土台の部分(天然歯側あるいはインプラント側)が壊れる
  5. ブリッジ自体が壊れる
  6. インプラントの土台を止めるネジがゆるむ
  7. 天然歯の土台とブリッジの間に隙間ができて虫歯になる
  8. インプラント周囲炎からインプラントがダメになる

などの問題が起きやすくなるのです。

成功率を上げるには

難しいとされる天然歯−インプラント・ブリッジの成功率を上げる方法としては、

  1. 天然歯が健康で動揺度が少なく、支えている骨もしっかりしている
  2. ブリッジの長さが短い症例を選ぶ
  3. 歯ぎしりのある患者さんは避ける
  4. 虫歯になりやすい患者さんは避ける
  5. ルートキャナル(根管治療)をされた天然歯が支えになる場合は避ける
  6. 負担のかかりにくいブリッジの噛み合わせになるように細心の注意を払う

などが言われます。

このような症例の提示があった場合はリスクをよく説明してもらい、歯科医と話し合いの上、総合的に判断することが大切です。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748