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歯科麻酔後の痺れた感覚をなるべく早く消す方法

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます

歯科麻酔後の痺れた感覚をなるべく早く消す方法

虫歯の治療、クラウン、抜歯、ルートキャナルなど歯科治療の多くの場面で登場する注射による局所麻酔。残念ながら、歯科の注射の麻酔を好きな人はまずいません。歯科治療の恐怖心の大部分が、診療時の痛みと、この麻酔時の痛みによるものでしょう。われわれ歯科医は、可能な限り安全で痛くならないように、局所麻酔に細心の注意を払っています。

一方で、歯科麻酔後、どのくらいで麻酔が効かなくなるかを気にする方も少なくありません。歯科診療後すぐに食事や会話が必要なこともあるのでしょう。また、唇の感覚がなくなるために唇を誤って噛むことも軽減できるかもしれません。診療時に痛くなく、診療後は麻酔の痺れが速やかに消える、これが理想なのです。

しかし、診療が終わってすぐに麻酔の効果がなくなるというのは、まずありません。麻酔液が局所に残っている間は、麻酔の効力が残ることになるからです。ただ、少しでも早く効力がなくなる方法がないわけではありません。今回は、歯科麻酔後の痺れた感覚をなるべく早く消すほぼ唯一の方法、OraVerseという製品の注射について書きたいと思います。

OraVerseとは?

歯科の局所麻酔のほとんどが、その効力を高め、作用時間を長く維持させるため、エピネフリン(アドレナリン)などの血管収縮薬を少量入れています。麻酔薬が毛細血管から吸収されるのを抑制し、麻酔液が麻酔部位に長く留まるようにしているのです。

OraVerse (Phentolamine mesylate, an alpha-adrenergic antagonist)とは、簡単に言うと血管を拡大させる薬物です。麻酔薬が局所に留まる時間を短縮させ、麻酔作用時間を短くします。歯科治療が終わったら、その部位にOraVerseを注射して使います。しかしながら、OraVerseの作用機序(効果のメカニズム)については、まだ完全に理解されておらず、その他の作用機序が発見される可能性も残っています。

OraVerseの副作用

ごくまれに血圧の低下、不整脈等の副作用が報告されています。心血管系に持病がある場合、使用には慎重になる必要があります。また、3歳以下の子ども、あるいは体重が33パウンド(15キロ)以下の場合、安全性が確認できていないので使うことはできません。

OraVerseのコスト

現状では、保険でカバーされない場合がほとんどです。OraVerse使用には追加費用がかかると考えておきましょう。試したい方は、まず歯科医に相談してみてください。場合によってはOraVerseを使ってくれるかもしれません。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748