健康な歯でスマイルライフ
日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます
2018年の歯科の話題を振り返る
新年明けましておめでとうございます。2018年、皆さんの歯の調子はいかがでしたでしょうか? 今回はいくつかの歯科の話題について書いていきたいと思います。
赤毛のアンを麻酔するのは難しい?(Anesthesiology 101:279-283, 2004)
これは新しい話題でもないのですが、筆者自身が最近知った事実です。麻酔の効き方に関しましては個人差がかなりあり、大酒飲みの方などは歯科の麻酔も効きづらいというのは、このコラムでも以前に取り上げました。大酒飲み以外でも、麻酔が効きづらい患者さんは、経験上います。
この研究は、今から14年以上も前に論文になったのですが、とても興味深い内容です。日本人にはあまり関係ないかもしれませんが、赤毛の方は麻酔が効きづらいというものです。
カギとなるのは遺伝子の型のようで、赤毛の方以外でも、ある種の遺伝子の型を持っていると麻酔が効きづらい可能性があるということを示唆しているかもしれません。昔から麻酔科医は経験上、赤毛の人を麻酔するのは難しいと感じていたそうです。それが、この研究で証明されたわけです。
この研究では、健康な女性を赤毛(Bright red)と濃い髪(Dark)で10人ずつのグループに分け、電気刺激に対する反応を基に、ガス全身麻酔の効きやすさを比較しました。その結果、赤毛のグループでは、麻酔が効くまでに平均20%も多くのガスが必要なことがわかりました。この差は統計学上でも有意な差として認められたということです。また、10人の赤毛を持つ女性のうち、9人で1型メラノコルチン受容体の遺伝子に変異が見られました。
子どもにとって最初の乳歯が抜けるのはポジテイブな経験
2018年に行われた、スイスのチューリッヒ大学での研究。子どもが最初に歯が抜けるのは6歳前後ですが、その時の感情は、怖い、恥ずかしい、ハッピー、誇りに思うなどさまざまです。
この研究では、1,300人もの最初の歯が抜けた子どもの両親を対象に、子どもの心理状態について調査しました。その結果、80%の両親から、子どもがポジテイブな感情を持ったとの結果を得ました。わずか20%の子どものみがネガテイブな感情を抱いたようです。このような研究はこれまであまりなく、とても興味深い結果が得られたと言えるでしょう。
まとめ
2018年を振り返って2つの話題について今回は書いてみました。2019年もいろいろな歯科の話題を提供させていただけたらと思っております。今後ともよろしくお願いします。