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処方箋レベルのフッ素入り 歯磨き剤

とかくその安全性が議論になりがちなフッ素ですが、70年ほどのフッ素研究の結果から、濃度を間違えなければ安全な物質で虫歯予防効果も明らかだとされています。2003年のMarinhoの研究によれば、市販のフッ素入りの歯磨き剤は、虫歯を24%ほど減らすことが できるそうです。そのため、実際に市販の歯磨き剤には、虫歯予防のためにフッ素が含まれ ている製品が多いですが、歯科医院では、さらに5倍ほど高濃度の歯磨き剤を処方することがあります(製品名;Previ Dent 5000 Plus、 SF 5000 Plus、Clinpro 5000、Denta 5000 Plusなど)。今回は処方箋を通じてしか購入できないレベルの高濃度フッ素入り歯磨き剤について書いていきたいと思います。

どうしてフッ素は虫歯予防に効果があるのか?

歯は口腔内の細菌が糖質を分解して酸を産生し、結果としてpHが5.5 以下の酸性になると、歯のミネラル成分であるカルシウムやリンが溶け出してしまいます(脱灰=虫歯)。

フッ素には以下の作用があり、虫歯の発生を減少させると考えられています。

  1. 歯質の向上;フッ素は歯の結晶構造に取り込まれ、その結晶構造を安定化させ(フルオロ アパタイトの形成)、歯をより酸から守る
  2. 再石灰化の促進;フッ素には、唾液中のカルシウムやリンと結合して歯にくっつく性質があり、歯の再石化を促進して、歯の微少なダメージを修復する
  3. 抗細菌作用;糖質の分解酵素、エノラーゼを 阻害し、酸の産生を阻害する。また細菌の歯質への接着も阻害し、歯垢の形成自体も阻害する

市販と処方箋レベルのフッ素入り歯磨き剤の濃度の違い

  • 市販品;1000-1500 ppm
  • 処方箋;5000 ppm

処方箋レベルのフッ素入り歯磨き剤が使われる時(適応)

  1. 虫歯のリスクが高いと考えられる時;歯の質が弱い。過去に虫歯の治療を数多く受けた。クラウンやブリッジが多い。唾液の分泌が低下している。歯肉が低下し、歯根が露出傾向にある
  2. 歯の知覚過敏傾向

処方箋レベルのフッ素入り歯磨き剤の使い方

  • 子ども;毎日1回。使用後、水でゆすぎ、口腔内に残さない。飲み込むのは絶対に止めること。形成中の歯にフッ素の悪影響(斑状歯)
  • 大人;毎日1回。最初は市販の歯磨き剤で磨き、水でゆすぐ。その後、処方箋の歯磨き剤に替えでさらに2分磨く。使用後は水でゆすがず、唾液を出すのみにする。なるべく飲み込まないようにする。30分は飲食を控える

まとめ

歯科医院では、より虫歯予防効果が高い歯磨 き剤が処方されることがあります。しかし、毎日の徹底したブラッシングとフロスの使用などの口腔清掃が重要なことに変わりはありません。処方箋レベルの歯磨き剤を正しく使うことにより、虫歯予防に万全を期したいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748