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活性炭(activated charcoal)で歯を磨く?

活性炭は身近のところでは、冷蔵庫の消臭や浄水に使われているのは、皆さんもご存知だと思いますが、解毒作用が期待できる活性炭のカプセル型サプリ メントも一部でブームになっています。一方、最近のインターネット情報によると、巷ではサプリメント用の微粒子の活性炭を用いて歯を磨き、歯を白く するという方法が広まってきているようです。興味のある方はYouTube等をご覧になるといいでしょう。今回は活性炭を用いた歯磨きについて書いてい きたいと思います。

活性炭について

活性炭とは、原料となる石炭やヤシ殻などの炭素物質を高温でガスや薬品と反応させて作られる、微細孔(直径1~20nm)を持つ炭素を指します。その 微細な穴に多くの物質を吸着させる性質があり、その性質を利用して、脱臭や水質浄化など、有害物質の吸着に用いられています。表面が非極性の性質を 持つため、水のような極性分子は吸着力が低く、細孔より小さな粒状の有機物質を選択的に吸着しやすいという特性を備えています。よく精製された活性 炭は、食品添加物や薬用炭として使用されています。

活性炭の歯を磨いた場合に期待される効果

1.歯を白くする効果

活性炭が、歯の表面に付いた飲食由来の色素と吸着してこれらの色素を吸着してくれるので、結果として歯が白く見える効果が少しは期待できると思いま す。しかし、歯の内部まで活性炭が浸透するわけではないので、歯科医院等で行われる過酸化水素等の薬液を使った漂白ほどの効果は期待できないと思い ます。一方で、薬液を使わないので、知覚過敏等の出現がない、または極めて少ないなどのメリットが予想されます。

2.プラーク除去効果

筆者が期待したいのは、この効果です。活性炭がプラークや口腔内細菌に吸着して、口腔内をより清潔にしてくれ、結果として歯周病や虫歯の予防につな がる可能性があります。

まとめ

活性炭を用いた歯磨きの効果については、一般の人々のあいだでの普及の方が進行し、研究がまだ追いついていない状況です。アメリカの歯科学会も活性 炭を用いた歯磨き法をまだ認めてはいません。筆者も最近、活性炭を使った歯磨きを始めて、いい感触を得ていますが、活性炭での歯磨きの是非について は今後の研究結果を待ちたいと思います。また、YouTube等でレモンなどの有機酸を用いた歯の漂白法なども見かけますが、使い方を誤ると酸によって エナメル質が溶けてしまい、いわゆる酸蝕症を引き起こし歯がボロボロになるといった危険性を感じる方法も見かけます。新しい方法を試す場合は歯科医 に相談してからの方が無難であるように思います。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748