歯の大きさが正常の歯の大きさよりも小さくなっていることがあります。こういう場合の歯は矮小歯(わいしょうし、Microdontia)と呼ばれています。また、反対に大きい場合は 巨大歯(Macrodontia)と呼ばれます。
矮小歯が歯列全ての歯に見られるのは極めて稀で、通常は歯列の一部の歯のみに出現します。矮小歯が出現しやすいのは退化傾向のある歯で、智歯(ちし、親知らず)や上顎の側切歯(そくせっし、中心の大きめの歯から1本外側のやや小さめの歯)に多く出現し、これらの歯は最初から生えてこないこともあります。
智歯が小さいのは、抜歯してしまえばいいだけと考えられがちなので、臨床的に問題になることはほとんどありません。しかし、上顎の側切歯に矮小歯が出現すると、審美的に問題になることがあります。 以前にも矮小歯をトピックで取り上げたことがあるかもしれませんが、今回は上顎の側切歯が小さい場合の治療法に関して書いていきたいと思います。
上顎の側切歯
この歯に矮小歯が出現すると、ほとんどが円錐形となり、栓状歯(Pegged tooth)と呼ば れています。 この栓状歯が、左右どちらかの1本あるいは 左右両方に出現するとその部分に隙間ができやすく、臨床的に問題となることがあります。 特に唇のラインが高い場合は上の前歯が目立つので、気にする方がいます。
栓状歯の治療法
患者さんが審美的に気にしなければ、何も治療の必要はありません。しかし、隙間が気になるなら、コンポジットレジンあるいはセラミックによるベニアや矯正による治療がで きます。 場合によっては、ベニアと矯正を併用することもあります。それぞれの利点・欠点は以下になります。
● コンポジットによるベニア
- 利点:比較的コスパが良い。治療がその日のうちに完了する。壊れてもやり直しが容易。
- 欠点:壊れることがある。微妙な色調を再現す るのが容易とは言えない。
● セラミックによるベニア
- 利点:自然な色調をより再現できる。
- 欠点:完成までに1、2週間かかることが多い。比較的高価。壊れた場合、やり直しに時間がかかる。
● 矯正
- 利点:自分の歯はそのままで、歯を削る必要がない。
- 欠点:左右1本だけ栓状歯の場合は、ほかの方法と併用しない限り、形を左右対称にできない。治療に時間も費用もかかる。
まとめ
上顎の側切歯に出現する矮小歯(栓状歯) は、審美障害を伴うことがあります。いろいろな治療法がオプションとして挙げられますが、気になる方は歯科医に相談し、最適な治療法を選択しましょう。
[健康な歯でスマイルライフ]