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フッ素の局所投与による虫歯予防、特にフッ素ヴァニッシュについて

fusoフッ素は、魚介類や野菜、肉、牛乳、塩、お茶の葉など、ほとんどの食品に含まれており、ビタミン類のように、毎日摂らなければならない必須栄養素に位置づけられています。現在、われわれは食べ物から 1 日当たり、1~2 ㎎のフッ素を摂取しているといわれています。昔から賛否両論の絶えないフッ素ですが、濃度を間違えなければ、歯を丈夫にしたり、再石灰化促進作用や虫歯の原因菌を減らすことが期待で希、それによって虫歯を減らすことは、50 年以上の科学的データから明らかです。現在ではほとんどの歯磨き剤にフッ素が入っており、多くの科学者、歯科医師会および歯科医がフッ素を虫歯予防に取り入れることを推奨しています。
アメリカにおいて近年増えてきた局所的フッ素の投与方法に、マツ由来のネバネバした天然樹脂に高濃度のフッ素を配合したフッ素ヴァニッシュ(Fluoride Varnish)という方法があります。歯科医院で子どもから大人まで使用されることが増えています。今回はフッ素ヴァニッシュについて解説したいと思います。

一般的なフッ素ヴァニッシュの方法
歯科医院で歯の表面清掃の後、歯をエアーやガーゼで簡単に乾燥させたら、フッ素ヴァニッシュ剤を直接、筆などで歯の表面に塗る。従来のフッ素の洗口剤の場合、30 分ほど飲食は避けなければいけないのに対し、ヴァニッシュの場合はすぐに飲食をすることも可能です。しかし、あまり硬い物や粘着性のあるものを食べるとヴァニッシュが取れることもあるので、そういった食べ物は避けた方が無難でしょう。また、少なくとも 4時間以上は歯ブラシを使用しないことが重要です。

フッ素ヴァニッシュの利点
トレーなどの特別な器具を必要としない。フッ素を高濃度(5%フッ化ナトリウム)に含んだネバネバした天然樹脂を歯の表面に少量塗るだけなので、小さな子供でも誤飲の危険が少ない。長時間、歯の表面にフッ素が留まるため、虫歯の予防効果がより高い。知覚過敏の治療や高齢者の歯根表面の虫歯予防にも効果が期待できるなどが挙げられる。

フッ素ヴァニッシュの欠点
ヴァニッシュの色が数時間留まるため、審美的に問題が生じる可能性がある。天然樹脂にアレルギーがある場合は使えない。

フッ素ヴァニッシュが歯科臨床の場で使われる頻度が高まっています。毎日の口腔清掃の大切さは変わりませんが、フッ素も正しく使って虫歯予防につなげたいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748