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二重顎を改善する脂肪溶解注射 カイベラ(Kybella)

smileLife_0525_1 肥満大国アメリカ。下顎に脂肪が過剰に溜まり、二重顎に悩む方も少なくありません。従来の改善方法としてダイエットに励んだり、顔のマッサージや運動療法、あるいは脂肪吸引手術が行われてきました。このような二重顎に対し、皮膚の切開を伴うような手術ではなく、カイベラ(Kybella)と呼ばれる新薬の注射による改善方法が、つい最近、FDA(The Food and Drug Administration)の認可を得たというニュースをテレビで見ました。顔にメスを入れることなく二重顎を改善でき、傷跡も残らず麻酔も必要ないことから、世界中で注目を集めています。診療科としては、美容外科や皮膚科で取り扱われると考えられますが、顎の周囲の治療ということで歯科にも多少関ってきますので、今回はこの治療法について書いていきたいと思います。

カイベラで使われる成分:デオキシコール酸
デオキシコール酸は胆汁酸の一種で脂肪代謝に関わっています。肝臓で作られた胆汁酸は胆嚢で一旦蓄積、濃縮された後、腸に分泌され、食事で摂取された脂肪を分解します。カイベラは、下顎の皮下脂肪にデオキシコール酸を直接注射することで注射部位の脂肪細胞膜を破壊し、脂肪の分解を図るものです。
● 注射の方法:顎の下の脂肪の多い部分に何カ所かに等間隔で注射部位をマーキングし、各々0.2 mlを毎月1回、2~6カ月間注射する。

FDA承認のための治験研究:
この薬剤の製造元であるカイセラ製薬(Kythera Biopharmaceuticals)という製薬会社が行った研究によれば、全米およびカナダにおいて被験者1000人以上、治験の行われた施設数70カ所。被験者の68.2%で少なくともグレード1以上(グレード数が多いほど高度の脂肪減少を意味する)の下顎の脂肪組織の減少を認めた(生理的食塩水のみの擬似注射の場合は被験者の20.5%に脂肪の減少)。そのうち16%で、グレード2以上の脂肪減少を認めた(生理的食塩水のみの擬似注射の場合は1.5%)。このような効果はMRIによっても確認され、FDAは満場一致でこの治療法を承認した。

● 副作用;注射部位周囲に炎症が起こり、多少の痛み、発赤、腫脹が2、3日続く場合がある。ただし包帯等は必要ない。治験結果によれば、4.3%の被験者に顔面神経損傷による非対照的顔貌が出現(平均42日間)。約2%に嚥下障害(平均2日間)が報告されている。

●この治療に向かない症例:過度の脂肪でしわしわにたるんだ皮膚の場合は、首の皮膚の挙上手術が必要なので、向いているとは言えない。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748