健康な歯でスマイルライフ
日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。
緑茶を飲む社交的な高齢者は歯が健康?
緑茶の主な成分と健康効果
緑茶に含まれる成分には、以下のように健康に有益な効果がさまざま示唆されています。特に下線のあるものが口腔関係です。
①カテキン類:ポリフェノールの一種。抗酸化作用、抗菌作用、血中コレステロールの低下、がん予防、抗インフルエンザ作用、血圧上昇抑制、抗肥満作用、虫歯予防、歯周病予防、口臭予防。
②ビタミンC:抗酸化作用、免疫力アップ、コラーゲン形成促進による皮膚粘膜の健康維持。
③カフェイン:疲労感の除去、覚醒作用。
④テアニン:お茶のうまみ成分。神経細胞保護作用、リラックス作用、認知症予防。
⑤フッ素:虫歯予防。
⑥ビタミンE:抗酸化作用、生活習慣病予防。
⑦タンニン:渋み成分。整腸作用、抗酸化作用、生活習慣病予防。
⑧サポニン:殺菌・抗菌作用、抗インフルエンザ作用
緑茶と社交と残存歯数の関係
東北大学は今年3月に高齢者の緑茶摂取と歯の本数、交友ネットワークの多寡に関する調査を行いました(Int J Environ Res Public Health. 2020 Mar; 17: 2052)。その結果、緑茶を1日に4杯以上飲む高齢者は、緑茶を飲まない高齢者に比べ、約1.6本多く歯が残っていることが明らかになりました。1カ月に会う友人・知人の数が少ないほど、緑茶と残存歯数の関連が強い傾向でした。また、1カ月に10人以上の友人に会う高齢者は、友人にあまり会わない高齢者に比べ、約2.6本多く歯が残っていました。緑茶を1日4杯以上飲み、会う友人・知人が多いことは、自分の歯を多く残すことにつながり、歯の健康に有意義であることが示されました。
まとめ
緑茶と社交性は歯の健康にも重要なようです。一方、あまり濃い緑茶の取り過ぎは、睡眠障害、歯の着色、ある種の薬の作用を妨げるというマイナスな面も考えられます。薬を飲む時は緑茶でなく、水を使いましょう。緑茶を正しく上手に使って、全身および口腔の健康に役立てたいですね。