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コロナ禍で顎関節症が増える?

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

コロナ禍で顎関節症が増える?

年末になってワクチン開発にひと筋の希望の光が見えてきた一方で、新型コロナウイルス感染症の勢いは、むしろ増しています。2020年ほど、波乱に満ちた1年はなかったという方も多いのではないでしょうか? パンデミックで世界が一変し、この先に不安を持つ方も少なくないでしょう。そんな中、イスラエルのテルアビブ大学とポーランドのヴロツワフ大学の共同研究により、不安と直結すると考えられている歯ぎしり、食いしばりの増加による、顎関節症および顎顔面の筋肉痛を発症する患者さんが増加しているとの報告がありました。今回は、この最新研究を中心に書いていきたいと思います。

中年女性層に大きな影響か

イスラエルとポーランドで3〜5月の最初のロックダウン中、合計1,800人に顎関節症の症状(日中の食いしばり、夜間の歯ぎしり、顎顔面の筋肉痛など)のアンケート調査が行われました。結果を表にすると以下のようになります

パンデミック前(%)

ロックダウン中(%)

全般の症状

35 47

日中の食いしばり

17 32

夜間の歯ぎしり

10 36

また、男女別、年齢別では、女性に多く、年齢は35〜50歳に多いことがわかりました。イスラエルとポーランドではコロナ禍によって感情的なストレスが増加し、その結果、顎関節症の症状が10〜25%増え、これらの症状がひどくなった割合も15%上昇していることが明らかになりました。

顎関節症の症状と治療

顎関節症の症状としては、顎関節や耳の痛み、または顎関節周辺の筋肉の痛みなどが見られます。また、顎関節が動かしにくい状態になり大きく口を開けづらい、あるいは口を開くときに耳の付け根辺りで「カクッ」「ゴリッ」といった雑音が聞こえるという場合も。その他、頭痛、肩こり、首の痛み、腰痛などを伴うこともあります。

顎関節症の治療には、薬物療法(鎮痛薬、抗うつ薬、筋弛緩薬など)、フィジカルセラピー(マッサージ、超音波、温熱など)、カウンセリング、スプリント療法(ナイトガード、マウスピースなど)、手術、日中食いしばらないように自分で心がけるといった、いくつかのアプローチがあり、これらを単独またはいくつか併用して治療を行います。

まとめ

コロナ禍では顎関節症も増えている可能性が考えられます。まずは、ストレスを抱え込まないことが大切です。前述の顎関節症の症状に思い当たった場合は、かかりつけの歯科医に相談することをお勧めします。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748