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歯抜けのホオジロザメには歯科医が必要?〜健康な歯でスマイルライフ

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

歯抜けのホオジロザメには歯科医が必要?

人間とはかけ離れた構造、機能、システムを持つことが多い他動物の歯ですが、人間の歯の機能や歯の再生の研究に役立つことは少なくありません。今回はサメの歯を通して、われわれ人間の歯についても考えていきたいと思います。

インスタグラムで話題のサメの歯

メキシコ、バハカリフォルニア州エンセナダの165マイル西に位置するグアダルーペ島で、多くの歯が抜けたホオジロザメが見つかりました。サンディエゴでサメ観察のケージ・ダイビングを提供するマーティン・グラフさんが、歯抜けのホオジロザメの写真をインスタグラム(@shark_diver_llc)に投稿してサメを診られる歯科医を募集し、大きな反響を呼んでいます。

歯科医探しについては本気かジョークかわかりませんが、グラフさんによれば、これほどまでに歯の抜けたサメを見たことがないそう。いつ、どうして、このサメが歯を失ったかは不明とのことです。

サメの歯はすぐに生え変わる

サメの皮膚はザラザラしていて、サメ肌と言われますが、この皮膚が口腔内のみ進化して歯に変わったのが、サメの歯です。サメは尖った三角形の歯を外から内へと何列も持ち、外側の2列くらいが捕食に使われます。2、3日ごとに生え変わり、内側の歯が順次外側に移動し、恒常性を保っています。サメの種類によりますが、6〜20列の歯が並び、中には3,000本の歯を持つサメも存在します。

ホオジロザメの寿命は70年ほどで、歯は数万回生え変わるようです。歯が抜けやすい原因のひとつには、人間の歯と違い、歯を支えている歯槽骨や歯根膜がないことが挙げられます。サメはまるで使い捨ての歯のように、ダメになると置き換えるシステムを構築しており、それだけの歯を作る細胞を生涯持ちます。前述の歯抜けのサメについては、(1)つい最近、歯が多く抜けることがあり、再生がまだ間に合っていない、(2)歯の再生能力が高齢、病気など何らかの理由で低下した、などの可能性が考えられます。

われわれ人間の歯について考えよう

サメの歯のほか、ネズミやウサギなど、げっ歯類の前歯、そしてカバやブタ、イノシシの犬歯、象の牙などは、無根歯または常生歯と言われ、絶えず伸び続けます。歯の長さは、硬い物を食べたり、硬い物にこすったりして調整しています。

最も進化した生き物(?)と自負している人間ですが、歯に関しては、果たしてそうと言えるでしょうか。むしろ、顎が小さくなって歯の数は減る傾向にあり、歯の再生もほとんど期待できません。そこで人間は仕方なく、クラウン、ブリッジ、インプラント、義歯などの人工物で、歯の再生力の乏しさを補っているわけです。

再生力に乏しいということは当然、毎日の口腔ケア、定期的な歯科健診が大切になってきます。一生物の歯を守れるよう頑張りましょう。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748