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ソーダ税で肥満や虫歯を減らす?

3人に1人が肥満といわれる肥満大国アメリカ。数年前、米疾病対策センター(CDC)によって、2030 年には国民の42 %が肥満になるとの見通しが示されました。肥満は糖尿病や心臓病の原因の一つです。医療費の高騰がアメリカの社会問題になっているのは皆さんもご存知の通り。今後20 年間で、肥満の人、極端な肥満の人の増加に伴い、医療費は年間5,500 億ドル( 約44 兆円)の負担増になるという試算もあるのです。このような問題を抱えているのはアメリカだけではなく、世界各国で、砂糖入り飲料への課税(ソーダ税)を導入して少しでもカロリー摂取を少なくし、健康な社会を築こうという動きが広がっています。以前このコラムでも取り上げましたが、炭酸飲料は強い酸性で、大量の砂糖が含まれている製品が多く、歯にとっても好ましくない飲み物です。そこで今回は、ソーダ税に関する世界の動向に書いていきたいと思います。

世界の動向
● 2010 年:ルーマニア政府はジャンクフード税の導入を発表。
● 2011年:デンマークでは、飽和脂肪酸が2.3%以上含まれる食品に対し、いわゆる脂肪税を導入するも1年あまりで廃止に追い込まれる。食品価格の高騰を招いたうえ、近隣国のドイツで国民が買い物をするようになってしまい、何の効果もなかったためである。
● 2011年:ハンガリーでは、砂糖や塩分の多い飲食品に課税する、いわゆるポテトチップス税が施行された。
● 2011年:フランスでは、砂糖の添加がより多い炭酸飲料に課税する、通称ソーダ税が承認された。
<アメリカ>
● 2010 年:オバマ大統領がソーダ税の導入を検討。行政側は導入による税収入の増加および医療費の削減が期待できることから導にあい、見送りとなった。
● 2014 年:カリフォルニア州バークレー市が住民投票で、炭酸飲料など糖分入りの飲料に課税するソーダ税を2015 年1月1日から導入することを決定。バークレー市のソーダ税はレジで計算して徴収する売上税で、税率は糖分入り飲料1oz 当たり1セント。AP 通信によるとアメリカでは30 以上の都市で同様の税が検討されたが、バークレー市が初の導入例となった。ソーダ税の効果は?
ソーダ税は「Sin Tax」(シン・タックス=悪行税・罪悪税)と呼ばれる好ましくない行為を防ぐための税の一種。日本ではたばこ税が有名な例で、現在1箱430 円の商品には、売値の6 割近くを占める244.88 円の税金が含まれています。日本たばこ協会によると、たばこの年間販売量は平成10年に3,366億本だったのが25 年には1,969 億本と4 割ほど減少し、効果があった一例と考えられています。
バークレー市のソーダ税率は日本のたばこ税率よりもかなり低く、効果を疑問視する意見も少なくありませんが、こういった動きが全米に広がり、健康志向や食の大切さが国民に浸透していけば、一定の効果を上げられそうだという意見もあり、今後の動向に目が離せないのは間違いなさそうです。いずれにせよ、炭酸飲料の飲み過ぎによる肥満や虫歯等の発生には注意したいものですね。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748