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アルギニンで虫歯予防〜健康な歯でスマイルライフ

健康な歯でスマイルライフ

日本では北海道医療大学歯学部で博士号を取得。米国でもロマリンダ大学歯学部を卒業し、2005年にPAN-PACIFIC DENTISTRY(パンパシフィック歯科医院)を開業した中出修先生に、アメリカで生活する日本人へ向けて歯や口腔について、説明していただきます。

アルギニンで虫歯予防

虫歯は、感染症の中で歯周病と共に最もありふれたもののひとつですが、いまだ克服できず、確実に有効とされるのはフッ素くらいです。そんな中、近年の研究で免疫を高めるとされ、サプリメントとして注目を集めるアミノ酸のアルギニンが、虫歯予防にも効果がありそうだということがわかってきました。

アルギニンとは?

アルギニンは自然界に存在し、唾液にも含まれる塩基性アミノ酸です。非必須アミノ酸ではありますが、成長期には摂取することが望ましく、条件付き必須アミノ酸に分類されています。

アルギニンは、一酸化窒素産生やオルニチン回路の活性化を担い、成長ホルモンの分泌を促します。免疫力を上げ、動脈硬化の防止、筋肉組織の強化、脂肪燃焼促進、持続力向上、疲労軽減が期待できるため、特に筋トレ中の方に好まれるサプリメントとして知られます。

アルギニンの虫歯予防効果について

アルギニンは塩基性アミノ酸であるため、酸を中和し、pHを上昇させ、歯が再石灰化しやすい環境を整えます。また、虫歯に関わる菌の減少をもたらします。アルギニン入り、フッ素入りの歯磨き剤を用いた、2年にわたる臨床研究により、1.5%のアルギニンには、フッ素濃度1,100ppmと同等の虫歯予防効果があることが明らかになりました(D Cummins;journal of dentistry, 2013)。

アルギニン入り歯磨き剤の種類

アルギニン入り歯磨き剤は、市販品もありますが、そう多くはないようです。代表的なものとしては、トムズ(Tom’s of Maine Rapid Relief Sensitive Toothpaste)、ウェルデンタル(Weldental Chewtab Sensitive Whit ening NHAP Too thpas t e Tablets with L-arginine and Nano Hydroxyapatite)の製品が挙げられます。

アルギニンの虫歯予防効果は、アメリカ歯科医師会(ADA)でまだ認可されていないため、これらの製品も虫歯予防とはうたっていません。知覚過敏対策やエナメル保護などもアピールしています。フッ素が嫌いという人は少なからずおり、フッ素入りの歯磨き剤に抵抗がある方がこれらの製品を試してみるのは良いかと思います。

まとめ

フッ素の代替として、アルギニンの虫歯予防効果への関心が高まっています。今後のさらなる研究を見守りたいところです。

しかし、虫歯予防での歯磨き剤はあくまで補助的なもの。毎日のプラークコントロールを徹底し、定期的な歯科健診を欠かさないことが重要です。健康な口腔を維持し、全身の健康につなげていきたいものですね。

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748