日本にいる知り合いの歯科医からの情報によると、ある会社の生薬入りの歯磨き剤を使用して唇の周囲や目の周りが腫れるといったアレルギー反応が出た患者さんが立て続けに来院して、驚いているとのこと。その歯磨き剤は日本製で、歯周病予防を目的に生薬を入れているようですが、アレルギー体質の方は特に、使用には慎重であるべきかもしれません。
今回は、歯磨き剤のアレルギー反応について書きたいと思います。
歯磨き剤でのアレルギー反応の主な症状
口腔周囲を中心に発赤、腫脹、疼痛などの炎症症状として出現することが多く、時には周囲組織や全身にまで及ぶこともあります。
- 口腔内:舌、歯肉、口腔粘膜の炎症。水泡が出来たり、赤くなったり、口内炎のように見えることもある。
- 口腔周囲の皮膚:口唇炎、口角炎等。
- 咽頭、喉頭:この部位が腫れると呼吸困難になることもある。
- 眼の周囲:眼の周囲の腫脹、眼球の充血など。ひどくなると眼が開きづらくなることもある。
- 全身:蕁麻疹、消化不良等。
市販歯磨き剤の成分
製品によってその成分は様々ですが、すべての成分がアレルギーの元となり得ると考えた方がいいでしょう。歯磨き剤の一般的な成分には次のようなものがあります。
1.研磨剤
リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等
2.発泡剤(界面活性剤)
ラウロイルサルコシンソーダ、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル等
3.保湿剤
ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール等
4.結合材
アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース等
5.薬効成分
- フッ素(フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ):虫歯予防
- 殺菌剤:クロルへキシジン、エッセンシャルオイル等
- 消炎:塩化リゾチーム等
市販の歯磨き剤も成分は様々で、ものによってはその人に合わない歯磨き剤も存在する可能性があります。生薬と書いてあっても安全とは限りません。臨床的な観察から、歯周病予防などは、製品に書かれた歯磨き剤の効力に頼らず、ブラッシングやフロスの使用によってプラークを取り除くのが最も重要と考えられます。歯周病の原因の大半はあくまでも口腔内の細菌によるものですから、プラークが残っていると、たとえ歯磨き剤に多少の抗菌作用があったとしても、細菌にまでは浸透しにくく、その効果は限定的だからです。歯磨き剤を使ってアレルギー反応が出た場合は、すぐに使用を中止してください。自分に合った歯磨き剤をしっかり見極め、毎日のブラッシングを充実させ、口腔内の健康を維持したいものですね。
[健康な歯でスマイルライフ]