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乳歯の外傷が永久歯に影響?

ある統計によれば、子どもの約半数が、転落、けんか、スポーツなどで口に外傷を負うといいます。それに伴って、歯が外傷で脱臼してグラグラになることも珍しいことではありません。つい先日も、7歳の女の子の患者さんのお母さんから、最近生えてきた下の前歯(永久歯)のうち、1本が黄色っぽいと相談を受けました。その部分にあった乳歯は、患者さんが1、2歳の頃ぶつけて抜け落ちてしまっていました。
今回は、乳歯の外傷が原因で、その後が生えてくる永久歯に及ぼす影響について書いていきたいと思います。

歯の発生

歯の原型である歯胚が出来始めるのは歯の部位によって異なりますが、乳歯の場合、一番早いものでは、お母さんのお腹の中である胎生時の6~8週で始まり、 永久歯であっても胎生20週で始まります。乳歯が先に出来て、乳歯の根の下には永久歯の原型(歯胚)が成長しています。乳幼児期に一番外傷を受けやすいのは上の前歯ですが、乳歯の根のすぐ下には、通常は永久歯の原型が存在しているため、乳歯の外傷は後継永久歯の発育に影響を及ぼすこともあるのです。影響を受ける確率は、統計にもよりますが、約30〜60%に及ぶとされています。一般に、受傷年齢が低いほど、後継永久歯に与える影響が大きいといわれています(表参照)。

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乳歯の外傷が後継永久歯へ与える影響にはどのようなものがあるか?

1.歯の色の異常(歯の石灰化の異常)
一番多く見られるのは永久歯の一部分だけ白く濁って見える「白斑」といわれる状態です。後継永久歯の石灰化成熟期に受傷したときに見られます。次いで多いのが、黄色から褐色がかって見える「黄斑」といわれる状態です。黄斑は血液分解産物によるものが多く、乳歯が脱臼した場合に多いといわれています。

2.歯の色の異常プラス
歯の形の異常(歯の形成不全)
より早期に外傷を受け(1歳以下が多い)、永久歯の歯胚のダメージがより大きい場合、歯がいびつな形になり、黄褐色に変色しやすい。

外傷にダメージを受けた永久歯の治療は?

詰め物、ベニヤ、クラウンなどで、機能障害、変色や変形などによる審美障害を治すのが一般的です。どの方法を選択するかについては、障害の度合いや年齢によって異なってきますので、歯科医とよく相談してみてください。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748