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アメリカで フッ化ジアミン銀が認可

乳歯がお歯黒みたいに黒くなっている子どもを日本で見かけたことがある方も多いと思います。あれは乳歯の虫歯に、フッ化ジアミン銀という虫歯の進行止めが塗布されたためなのです。フッ化ジアミン銀は日本、中国、オーストラリア、ニュージーランドなど多くの国で何十年も虫歯予防に使われてきた非常にポピューラーな塗り薬です。 小生がカリフォルニアで歯学部の学生として学んでいた時、ニュージーランドの歯学部出身の教授から、「なんでアメリカにはフッ化ジアミン銀がないんだろうね? 日本では使われているよね?」と聞かれたことがあります。アメリカで育った子どもの乳歯で、お歯黒のような乳歯を見かけることはまずありません。それはこの薬剤がアメリカで認可になっていなかったためなのです。しかし2014年にアメリカでもこの薬剤が認可され、今年になってカリフォルニアの歯科医師会雑誌にフッ化ジアミン銀の有効性の論文が掲載されて、今この薬剤がアメリカの歯科界では密かに注目されているのです。フッ素、銀はどちらも抗う蝕(むし歯を防ぐ)作用があります。
今回は虫歯予防の薬剤で知られるフッ化ジアミン銀について書いていきたいと思います。

フッ化ジアミン銀の用途

  1. 普通の虫歯治療が困難な小児あるいは来院の難しい高齢者の方の虫歯の進行予防
  2. 歯を削った後の知覚過敏やその後の虫歯の発生の予防

なお今後アメリカでは用途2の目的で使用されることが多いかもしれません。乳歯と言えども、歯が黒くなることへの抵抗感を示すことが予想されるためです。

フッ化ジアミン銀の乳歯う蝕の進行抑制目的
う蝕部の歯質を簡単に除去し、局部を消毒清掃乾燥後、3~4分間作用させて第1回目の処置とする。この塗布を2~7日間隔で計3回繰り返し行う。時期を見て必要に応じて詰め物等の修復処置を行う。

歯を削った後の知覚過敏や二次う蝕の抑制目的
局部の消毒清掃乾燥後、3~4分、1、2回本剤を塗布する。その後、詰め物やクラウンの作製を行う。

フッ化ジアミン銀の問題点

  1. 歯の神経(歯髄)の近くのような極端に深い虫歯では薬剤が歯髄まで到達するため、刺激を与えて痛みを引き起こすことがあります。
  2. 歯の着色。薬剤を使用して数日すると歯が黒くなりますので、永久歯の前歯には使うことが困難です。また、薬剤が歯肉、口腔粘膜、皮膚に付着するとなかなか取れないことがあるため、術者は注意が必要です。

まとめ

日本で何十年も前から使われている虫歯進行防止剤であるフッ化ジアミン銀ですが、歯が黒くなるため、日本では使われる頻度が減っています。このクラシックな薬剤が今頃になってアメリカで認可され注目を集めているというのですから、薬剤の流行り廃りというのは分からないものです。

[健康な歯でスマイルライフ]

中出 修
福井県出身。1985 年、北海道医療大学歯学部卒業。1993年、同大で博士号を取得後、講師に就任。 2003年、ロマリンダ大学歯学部卒業。歯科医勤務を経て2005年、タコマ近郊に開業。2006年10月にサウスセンターモール近くに移転。 パンパシフィック歯科医院 Panpacific Dentistry 411 Strander Blvd. Suite 207, Tukwila, WA 98188 ☎ 253-243-7748