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住友生命保険相互会社 シメトラ社 宮原広文さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

宮原広文さん左いつもよく仕事の話をするシメトラ社の内部管理関係の幹部であるスザンヌさんとシメトラ社の文化に合わせてジーンズなどカジュアルな恰好で勤務していている

宮原広文(みやはらひろふみ)■山口県出身。1985年、住友生命保険相互会社入社。住友生命による米シメトラ社の買収に伴い、2016年1月より同社へ出向、シアトル駐在となる。本人いわく「絵に描いたような単身赴任生活」のため、当初は必要に迫られて料理を始めたものの、今ではお気に入りのアルミ製フライパンをわざわざ日本から持参するほど。揚げ物も手間を惜しまず、とんかつも手作りする。

当時、ニューヨーク株式市場上場会社で業界40位だった中堅規模の米生命保険会社、シメトラ社(SYMETRA)を住友生命が買収し、その取締役として2016年にシアトルに着任しました。主な仕事は今後の経営方針や経営戦略をシメトラ社の経営陣とすり合わせることです。また、住友生命のグループ会社として徹底したリスク管理や内部監査機能の整備など、ガバナンス業務に従事する一方、お互いのノウハウを共有することで収益向上やコスト削減といったシナジー効果を生み出すべく、その環境づくりを行っています。

少し専門的な話になりますが、各国には自国の金融機関を監督する監督省庁があり、日本では金融庁、アメリカでは連邦や各州の保険当局がこれに当たります。シメトラ社はアメリカの会社なので、アメリカの保険当局が定めるルールに従いますが、住友生命グループの1社として日本の金融庁からシメトラ社に関する問い合わせを受けることも度々あり、その対応も仕事のひとつです。というのも、2007年の金融危機ではアメリカの金融機関の破綻が引き金となって、世界中の金融機関がその影響を受けて、また世界経済も停滞しました。金融もグローバル化が進み、もはや自国での出来事だけに目を向けていれば良い時代は終わりました。以降、各国の監督省庁は自国の金融機関の海外子会社にも監督の目を光らせるようになると共に、監督当局間での連携も進んでいます。

会社は人でできています。結局、会社の統合とは、人と人とのマッチング。同じ保険会社という業態が一緒になったわけですが、お互いのカルチャーは全く違います。アメリカ人はストレートな物言いを好む一方で、日本人には相手を思いやって遠慮がちに言う傾向や、建前や形式に配慮する気質がある。そうしたコミュニケーション・ギャップに気を配りながら、どうしたらより良い会社をつくっていけるか、日々模索中です。

日本では長く資産運用と内部監査の仕事に携わっていました。昔、香港で勤務した経験もあります。2015年の夏にシメトラ社の買収が決定した後は、買収後の経営統合準備のため何度もアメリカへ出向いて仕事をしてきましたが、大人数の前で議論する場合など、やはり英語で苦労することは多々あります。また、アメリカ文化のひとつだと思いますが、とりわけ顧客を招いたパーティーなどでは、パートナーを同伴することも多く、もてなしの一環として仕事以外の話もしなくてはいけない。昔からのテレビ番組やスポーツの話題などアメリカで育った人たちにとっては「相手も当然知っているだろう」という前提で会話が進んでいくときは、なかなか辛いものがありますね。

手づくりミートソースのスパゲティと付け合わせのポテトサラダお気に入りのワシントン産デイリーワインと合わせて

子どもは2人。1人は社会人、1人は大学生です。子育てがひと段落して妻が仕事を始めたこともあって、あっさり単身赴任が決まりました。以前から料理に興味があり、会食が入っていない日は自分で朝食と夕食を作っています。カップ麺は1年以上食べていません。平日は忙しいので、週末にまとめて作って冷凍。調理道具は日本にいた頃からそろえ始め、フライパンは用途に合わせて4種類を使い分けています。レシピはオンラインや日本で買って来るレシピ本から。郷里の山口県下関で暮らす86歳になる母によく電話をするのですが、昔食べた料理のレシピを聞くことも多いですね。とはいえ日本の自宅で台所に立つことはありません。家族の日常を乱したくありませんし、過去に作ってみて反応がイマイチだったので……。

かつて東京ではよく後輩や部下たちを連れて食べ飲み歩きをしました。今では彼らと年齢もだいぶ離れていますし、気を遣わせるのも申し訳ないので自分から誘うことはしないようにしています。明らかに私と一緒にというより、飲み代のスポンサー確保が目当てでも誘われるうちが花ですから、そのときは喜んで一緒に行きます(笑)。野球観戦も好きなので、イチロー選手のマリナーズへの復帰はうれしいです。これからの季節はゴルフも楽しみ。また、ワインが大好きなので、ナパ・バレーやワラワラのワイナリー巡りもしてみたいですね。

数々の受賞歴をもつ名門ワイナリーのひとつカリフォルニア州スタッグスリープワインセラーズに同僚と訪問
磯野 愛
2020年6月まで北米報知社でセールス・マネジャーを務める。北海道札幌市出身。2017年に夫の赴任に伴ってシアトルに渡るまでは、日本で広告代理店に勤務し、メディア担当、アカウント・エグゼクティブとして従事。ワシントン大学でMBA取得後、現在はシアトル発のスタートアップ、Native English Instituteのマーケティング担当として日本市場参入準備に携わる。趣味はテニスで、大会(とその後の打ち上げ)の再開を心待ちにしている。