Home ビジネス シアトル駐在員日誌 米国三菱航空機 高山洋平さ...

米国三菱航空機 高山洋平さん

シアトル駐在日誌

アメリカでの仕事や生活には、日本と違った苦労や喜び、発見が多いもの。日本からシアトルに駐在して働く人たちに、そんな日常や裏話をつづってもらうリレー連載。

真面目な理系男子の高山洋平さん愛するMRJの模型と

米国三菱航空機(MITSUBISHI AIRCRAFT CORPORATION AMERICA, INC. )は国産初のジェット旅客機「MRJ」の開発と販売、カスタマーサポートを手がける会社。航空機は膨大な数のパーツから成り立っていますが、私は「アビオニクス」という航空機用の電子機器を担当しています。出来上がってきた電子機器が正しく作動するかどうかを、抜け・漏れなく確認するために、どのような試験を行うべきかを考える部署です。

大学で勉強していたのは電子工学で、航空機は専門ではありませんでした。特に航空機への強い興味があったわけでもありません。しかし、就職活動をしていたときに三菱重工のMRJ開発のニュースを目にして、自分も挑戦してみたくなりました。この会社のあり方に引かれ、一念発起をして飛び込んだのです。

今は日本人含め、多国籍のメンバーで構成された10人の部下と一緒に仕事をしています。こんなにたくさんの部下を持つこと自体が初めて。背景となる企業文化もバラバラで、メンバーのほとんどが私より年上です。言葉の壁もあって、こちらの指示がうまく伝わらないときはやっぱりしんどい……。自分で要求した試験が実際に行われるときは立ち会う場合もあるので、そのときはシアトルから車で東に3時間ほどのところに位置するモーゼスレイクの試験場まで自分で運転して行きます。もうだいぶ慣れましたが、やっぱり冬道の運転はなるべく避けたいところです。日本にいた頃は名古屋勤務で、アビオニクスのシステムそのものを開発していました。日常のほぼ全てが仕事でした。アメリカに来て、労働時間という観点からは日本と比べて多少余裕ができました。ただ、これは働く誰もが抱える問題だと思いますが、守るべき法律と納期の狭間で、今も忙しくしているというのが正直なところです。私を含め若手だけが多忙というわけでは決してなく、上司も他の部署のスタッフも、みんなそれぞれの課題に向き合って一生懸命頑張っています。

妻の恵里さんと念願のサンフランシスコ旅行米ドラマフルハウスタナー家の一員になった気分で大満足

家はベルビューのダウンタウンにあります。妻は名古屋時代の同僚です。私の海外赴任に合わせて休職して来てくれました。妻は結婚するまでずっと名古屋の実家住まいで、生まれた地を離れるのは、妻はもちろん、義父母も相当心配だったと思います。ところが今は、ベルビュー・カレッジのESLクラスやアロマの教室に通うなど楽しそうにやっているのでひと安心です。友だちを作るのは圧倒的に妻のほうが上手。土・日はホールフーズやQFCなどのスーパーへ、一緒に買い物に出かけます。料理が好きなので、休みの日はなるべく私が食事を担当するようにしています。サンクスギビングではアメリカっぽくターキーを焼いてみました。1羽をふたりで食べ切らなくてはいけないので、4・5日間ずっとターキー地獄。もうしばらくターキーはいいです(笑)。また、昨年末はサンフランシスコ旅行に出かけました。昔から「フルハウス」というアメリカのテレビドラマが好きで、オープニングで一家がオープンカーに乗って颯爽と渡っているあの赤い橋、ゴールデン・ゲート・ブリッジをどうしてもこの目で見てみたかった!割ける時間は限られていますが、アメリカならではの暮らしも満喫しています。

サンクスギビングに焼いた自慢のターキー信じられないくらいパサパサの胸肉部分をどうしたら良いものか来年に向けて試案中

私たちは2020年に、最初の航空会社へのMRJ納入を目指しています。MRJが名古屋の試験場で初飛行したときの感動と興奮は本当に忘れられません。飛行機を構成する部品とシステムの数だけ、そこに携わった人たちの苦労と思いがあります。MRJがお客さまを乗せてこの大空を飛ぶ日が本当に待ち遠しいです。

高山洋平■和歌山県出身。2009年三菱重工業株式会社入社、2016年6月より米国三菱航空機株式会社へ出向、シアトル駐在となる。趣味は料理で、得意の一品は餃子!土・日は自ら調理担当を買って出るも、ときには妻の恵里さんから厳しいダメ出しが……。

磯野 愛
2020年6月まで北米報知社でセールス・マネジャーを務める。北海道札幌市出身。2017年に夫の赴任に伴ってシアトルに渡るまでは、日本で広告代理店に勤務し、メディア担当、アカウント・エグゼクティブとして従事。ワシントン大学でMBA取得後、現在はシアトル発のスタートアップ、Native English Instituteのマーケティング担当として日本市場参入準備に携わる。趣味はテニスで、大会(とその後の打ち上げ)の再開を心待ちにしている。