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発言する勇気と方法

Aさんはアメリカの企業で専門職として働いていらっしゃいます。普段は自分の仕事を淡々とこなしていれば良いのですが、チームリーダーになったのを機に週一度のプロジェクト会議に代表として参加しなければならなくなり、毎回憂鬱で仕方がないと仰います。

理由は、発言をしなければいけないというプレッシャーだそうです。この感情は、英語を第二言語として学んだ人なら経験した人が多いのではないでしょう
か? しかし、「それを当たり前の感情、しょうがない、と言い切って終らせてしまうのは何か違う」とA さんは仰います。「自分に課せられた職場での役割を考えると、きちんと発言する必要がある」とも仰っており、責任感の強さ、向上心などが伺えました。しかしながら、A さんが自らに課した価値感、「こうあるべき」という自分像が、それに満たない自身への苛立ちにつながっているようでした。
A さんは、「報告という形で準備をして発表する場合は、どうにかこなせていると思う。でも、グループでディスカッションしている時に話に加われない。アメリカ人の会話の流れに追いつけないというか、迫力に尻込みしてしまう。一番嫌なのは、人が話していても、最後まで聞き終わらないで発言する人が多い事。そういった場合、自分の言いたかった事を再度言い直すほどの勇気というか、気力を保つのも疲れる」と仰います。A さんの職場のように、上司が議事進行していて、ファシリテーターが不在の場合、全員の意見をバランスよく取り入れるような采配がないのが多くの職場での現状でしょう。
A さんに、ディスカッションに参加しなければならないと思う理由を尋ねた所、1) 仕事の評価として、グループへの貢献度、すなわちディスカッションなどへの参加が求められる、2) 自分の仕事の方向性や業務の範囲を、自分が発言しないことで周りに決められたくない、との事でした。そこでコミュニケーションの傾向をいくつか説明させて頂きました。
ディスカッションでは、黙っていては参加と認められませんが、「XX さんに同意します」のような一言でも参加したとしてカウントされます。持論を長々述べるばかりが発言ではありません。仕事への評価を気にする場合、決定事項に関する発言をすると、実際はそのディスカッション自体に参加していなくても、それらしく仕事をしたように見られます。
ディスカッションの内容を要約してみたり、「つまり、XX ですから○○になりますか?」などの確認作業がこれに当てはまります。自らの仕事に関する主張は、意見をしっかり述べる必要性が出てきます。これは簡単ではありませんが、簡潔に相手に解りやすく話す事、データや事実関係などを使って話をする事、自分の意見や希望を明確に伝える事で、達成できます。
英語力とコミュニケーション力は同じではありません。コミュニケーション力を伸ばす事で、発言する勇気も得られるでしょう。

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