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神戸ビジネスセミナー

神戸ビジネスセミナー
ビジネス拠点としての神戸の魅力を知る
取材・文:室橋美佐

 

今年は神戸市とシアトル市の姉妹都市提携60周年にあたる。1956年にシアトル市長が同市として初めての姉妹都市提携を神戸市に申し入れ、1957年に締結。60年間にわたってビジネスや文化、教育など幅広い分野で交流が続いている。神戸港とシアトル港も1967年に姉妹港提携をして今年が50周年だ。7月28日、シアトル港本部で記念式典が行われ、神戸市から玉田敏郎副市長や神戸市会議員、神戸・シアトル姉妹都市協会、おまつり大使などが出席した。前日7月27日には「神戸ビジネスセミナー」が開催され、神戸のビジネス投資環境について講演が行われた。

KOBE 海と山に囲まれた国際都市

神戸は古代から港町として栄えてきた。江戸幕府が鎖国政策を終えて1868年に神戸港をアメリカとの商取引のために開港すると、神戸の街は日本の国際貿易拠点として成長を遂げた。「神戸は古くから外国の文化を受け入れてきました」と神戸シアトルビジネスオフィス代表の染谷哲也氏は語る。開港当時からの洋館も街のあちこちに残り、独特な趣ある街並みが見られる。神戸市は交通標識や駅案内の多言語表示をいち早く取り入れており、同市に根付く外国人居住者を積極的に受け入れる文化がうかがえる。

「ネット社会になり、どこにいても仕事ができる業務形態が多くなった今、神戸をビジネス拠点として選ぶ人が増えています」と染谷氏。首都圏に比べると物価が安く家賃や食費などの生活費が安価であるうえ、生活環境が豊かだという。海と山に囲まれる神戸市は、その美しい景観が魅力。市街地は六甲山と瀬戸内海の狭間を横に伸びており、どのエリアに住んでいても山が間近に迫る。「神戸には『早朝登山』という言葉があって、多くの人が日常生活の中で気軽に登山を楽しんでいます。自然に囲まれた環境はシアトルに近いかもしれません」。

大阪駅まで電車で約20分、新幹線や飛行機を使えば東京へも約2時間余りと、都市へのアクセスは抜群だ。北米西海岸やアジアの中心都市へ直行便が出る関西国際空港へも、神戸空港から高速船で約30分だ。その一方で、日本最古の温泉として名高い有馬温泉や、神戸の美しい街並みを見下ろせる六甲山などの観光スポットへも1時間以内で気軽に訪れることができる。中心繁華街の三宮エリアにはレストランや居酒屋が集まり、「食」の面でも豊かだ。「スイーツも灘酒もおいしいですが、本場のKOBEビーフは最高ですよ」と染谷氏。

1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市。しかし、計画的な復興で2008年にはユネスコ創造都市ネットワークのデザイン都市に認定されている。神戸港内に作られた人工島「ポートアイランド」には、震災直後から医療関連企業や研究所が誘致され、現在では日本一の医療バイオテック産業クラスターが形成されている。また、久元喜造(ひさもと・きぞう)市長が2013年に就任してからは、IT分野のスタートアップ企業誘致も積極的に行っている。染谷氏は「シアトルには医療バイオテックやハイテク分野で成功を収めている企業がたくさんあります。そうした企業関係者へ、アジア進出拠点として神戸にオフィスを置くメリットを伝えたい」と、神戸ビジネスセミナーの意図を説明してくれた。

染谷哲也(そめたに・てつや)■神戸シアトルビジネスオフィス代表。神戸で生まれ育つ。大学で法律を学んだ後に神戸市役所に入庁。1991年にワシントン大学でMBAを取得。都市計画局に勤務し、1995年の震災直後は街の復興業務に関わる。2015年から現職。

続いては神戸ビジネスセミナーの様子