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第32回サンタクロースに手紙を書こう〜技あり! 機械翻訳達人への道

機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。

 

第32回 サンタクロースに手紙を書こう


【今回の例文】

Writing to Santa

The North Pole is now accepting letters. Here’s how to get your letter to Santa.
Share Your Details Include first name, last name, full return address, and your holiday wishes
Send It to Santa Put Santa’s address and postage stamp on the envelope
Be On Time Make sure you postmark it by December 11

Make Your Letter Even Better
Santa has a lot of letters to read, so here’s how you can make his job easier:
Write legibly
✓ Include your full name and address in the letter
✓ List the gifts you want in order of preferences
✓ Be specific about the gifts you’re asking for
✓ Don’t ask for gifts that might be too expensive

(出典:USPSホームページ

【機械翻訳】

サンタへの手紙

北極では手紙を受け付けています。サンタさんへの手紙の書き方はこちら。
詳細を共有する 姓、名、返送先住所、年末年始のご希望をご記入ください
サンタに送る 封筒にサンタさんの住所と切手を貼る
時間厳守 12月11日の消印有効

手紙をもっと素敵に
サンタさんはたくさんの手紙を読まなければなりません:
✓ 読みやすく書く
✓ 手紙には住所と氏名を明記する
✓ 欲しいプレゼントを好きな順に並べる
✓ 欲しいプレゼントを具体的に書きましょう
✓ 高価過ぎるプレゼントは頼まない

(DeepL 翻訳)

⬇︎

【修正後】

サンタさんへ手紙を書こう

現在、サンタクロース宛ての手紙を受け付け中です。サンタさんへの手紙の書き方はこちら。
自分の情報を伝える 氏名、返送先住所、サンタさんへの願いごとを記入します
手紙を投函 封筒にサンタさんの住所を書き、切手を貼ります
期限を守る 12月11日の消印有効です

手紙を読んでもらうためのヒント
サンタさんにはたくさんの手紙が届きます。サンタさんが読みやすいように、次のことに気を付けましょう。
✓ 文章は読みやすく
✓ 自分の住所と氏名をはっきり書く
✓ プレゼントを欲しい順に並べる
✓ 欲しいプレゼントについて、具体的に書く
✓ 高価なプレゼントは頼まない


米国郵政公社(USPS)では、毎年、サンタクロース宛ての手紙を受け付けています。その仕組みを紹介した文章を訳してみましょう。わかりやすい日本語にすることが大切です。

今回のポイント ✅

1.The North Poleは北極?
英語ではよく、同じ言葉の繰り返しを避けるために、地名で人を表すことがあります。たとえば、Tokyo(東京)は日本政府、Moscow(モスクワ)はロシア政府というように。例文の場合、北極とはつまり、サンタクロースですね。

2. holiday wishesはどう訳す?
機械翻訳では、「年末年始のご希望」と訳されていますが、これでは伝わらないですね。修正訳では、希望がかなうとは限りませんが、プレゼントのリクエストという意味で「サンタさんへの願いごと」としました。

3. 思い切って意訳しよう
Send It to SantaやMake Your Letter Even Betterなど、直訳するとわかりにくい表現が多くあります。そんな時は、読み手に伝わるように意訳してOK。修正訳ではそれぞれ「手紙を投函」「手紙を読んでもらうためのヒント」としています。

まとめ

USPSが1912年から実施している「Operation Santa®」(サンタ大作戦)。サンタさんに手紙を書くと、返事とプレゼントが届くそうです。たくさんの人の善意で成り立っている素敵な取り組みですね。

シュレーゲル 京 希伊子
フリーランス翻訳家・通訳。外務省派遣員として、92年から95年まで在シアトル日本国総領事館に勤務。日本へ帰国後は、政党本部や米国大使館で外交政策の調査やスピーチ原稿の執筆を担当。キヤノン元社長の個人秘書、国連大学のプログラム・アシスタントなどを経て、フリーに転身。2014年からシアトルへ戻り、一人娘を育てながら、 ITや文芸、エンタメ系を始めとする幅広い分野の翻訳を手がける。主な共訳書は、金持ち父さんのアドバイザーシリーズ『資産はタックスフリーで作る』など。ワシントン州のほか、マサチューセッツ、ジョージア、ニューヨーク、インディアナ、フロリダにも居住経験があり、米国社会に精通。趣味はテニス、スキー、映画鑑賞、読書、料理。