機械翻訳の精度は飛躍的に向上。でも、よく読むと「あれれ?」な部分も。ちょっとしたコツで見違えるほど自然な日本語に直せる技を紹介します。
【今回の例文】
I was earning my Masters of Professional Accounting degree at the University of Texas during the height of the 1980’s oil and gas boom. Texas oil was doing so well that the Midland, Texas office one of the Big 8 (now it’s the Big 4) accounting firms was hiring my program’s graduates sight unseen. They wanted as many newly minted accountants as they could get.
(出典:トム・ホイールライト著『資産はタックスフリーで作る』)
【機械翻訳】
私がテキサス大学で専門会計学の修士号を取得していたのは、1980年代の石油・ガスブームの真っ只中だった。テキサスの石油は非常に好調で、ビッグ8(現在はビッグ4)のひとつであるテキサス州ミッドランドの会計事務所は、私のプログラムの卒業生を見知らぬうちに雇っていた。彼らは、できるだけ多くの新米会計士を求めていたのだ。
(DeepL翻訳)
【修正後】
私がテキサス大学の大学院で会計学を専攻していた頃、世の中はちょうど80年代、石油と天然ガスのブームで沸き立っていた。テキサスの石油業界は非常に好調で、テキサス州ミッドランドに支社を置く世界八大会計事務所(合併などにより現在は四大会計事務所)の会計事務所は、私の通う大学院で会計学を修了したばかりの新卒者を手当たり次第に採用していた。できるだけ多くの会計士の卵を確保したかったのだ。
前回に引き続き、今回も文芸翻訳に挑戦です。決して難しい例文ではないため、機械翻訳でもかなり完成度は高いのですが、やや稚拙な印象。少しの工夫でぐっと精度が高まりますので、皆さんもぜひコツを学んでください。
今回のポイント
①所有格には説明をプラス
英語ではmy/your/ourなどの所有格がよく使われますが、これをそのまま日本語にするといかにも直訳調。「my program’s graduates」の訳を比較してみましょう。機械翻訳では「私のプログラムの卒業生」となっていますが、修正後では、「私の通う大学院で会計学を修了したばかりの新卒者」としています。字数は多くなりますが、所有格を訳す際には、このように状況説明を補足するとわかりやすくなります。
②リサーチを怠らない
Big 4、Big 8、Midlandと見慣れない固有名詞が並びます。これらはまず検索して調べましょう。Big 4は世界四大会計事務所であることがすぐにわかります。Midlandは、一語で調べても検索ヒット数が多いので、Midland Texasで調べると石油と関連の深いテキサス州の都市であることが確認できます。固有名詞の場合、100%確信を得られるまで必ず調べましょう。
③こなれた日本語をチョイス
「newly minted accountants」は、皆さんならどのように訳しますか。DeepL翻訳の「新米会計士」も悪くはないですね(ちなみにGoogle翻訳では「新しく造られた会計士」となり、これはアウト!)。
ここでは大学院で会計学を修めたばかりの若者を指しているので、より雰囲気が出るように「会計士の卵」としました。