シアトル近郊の専門家たちが、悩み多きバイリンガル子育てについて回答。子どもと楽しむ、子育てのヒント。
Q. 日本では幼児教育熱が高まっていると聞きます。バイリンガル教育含め、最新事情を教えてください。
A. 内容は地域や園によって差があります。今後はグローバルな視点から 子どもたちに指導できる人材の育成がより進むでしょう。
日本では今年10月から幼児教育と保育の無償化がスタートしました。保育園、幼稚園、認定こども園に通う3歳児以上(一部満3歳児も含まれる)と、一部の家庭では0歳から2歳までの子どもの保育料が無償化の対象になります。
給食費などの対応については、保育園や幼稚園、認定こども園の経営者が地域の行政機関と最終的な協議を行ったうえで実施しています。そのため、全国の園で実施する内容が同じわけではありません。対応は地域や園の方針などによるので、帰国して園を選ぶ際には十分情報を集めてから決めることが肝心です。
幼児教育と保育の業界では現在、大きな変革期を迎えています。少子化が進み、保護者から選ばれる園と園児数を減らしている園の差が激しくなりつつあります。20年ほど前から、園が保護者に選ばれるために、さまざまなカリキュラムをそろえるようになってきています。食育や音楽、リトミックなどに力を入れ、豊かな幼児教育や保育を実践する園が多くあります。
また、英語教育も盛んに行われるようになってきました。この地球全体を考えますと、日本ではまだまだ英語教育やグローバル教育が全体的に行われていないのが現状でしょうか。大都市圏にはバイリンガル幼稚園、または英語教育に力を入れている園も存在します。しかし、週に1度または月に1度、英語圏出身の先生に園に来てもらい、英語に慣れてもらう、または異文化を体験してもらうことで良しとしてしまう園が多いのも事実です。
私たちの会社では、地球上の74億人の人々と共存できる子どもたちの育成を目指し、グローバル教育を園の経営者に考えてもらえるように、人材教育プログラムを提供しています。日本国内にとどまらず、ベルビュー・カレッジと協力して、日本の先生方向けの保育実習型特別プログラムを毎年用意。今年も11月に30名以上の先生方が訪米します。同プログラムは、もう20年近く実施しています。
ベルビュー・チルドレンズ・アカデミーでは、清水楡華(しみずゆか)先生が実践する英語教育を見学させてもらいました。その手法と効果に感動した群馬県高崎市にある認定こども園理事長を務める先生が、子どもたちの英語教育に取り入れ、実践しています。たった3カ月の取り組みで、5歳児がきれいな発音で日本の中学校の教科書を読む姿が見られ、驚きました。
また、3年前からは発展が著しいシンガポールでの視察研修も実施。現地の幼児教育施設訪問や幼児教育関係者との交流を行っています。さらに2020年には、台湾での視察研修を計画しています。日本で活躍する若い世代の先生方に向け、世界の現場で学ぶ機会をこれからも提供していきたいと思っています。
このように、日本の園でも海外からの視点を持つ人材が育ち、グローバル教育やバイリンガル教育は進んでいくと思われます。実践する先生方への、より充実した教育が待たれます。アメリカで育った子どもたちやその保護者の経験や考え方を、帰国後にぜひ生かして、日本におけるバイリンガル教育の発展をリードして欲しいと切に願っています。
教えてくれたのは
株式会社こども保育環境研究所
畠山和人さん
株式会社こども保育環境研究所、株式会社Spirits of North Landの代表取締役社長。1982年に立教高校を卒業後、ショアライン・コミュニティー・カレッジで幼児教育を学ぶ。帰国後の2002年に、こども保育環境研究所を設立。全国の幼児教育・保育施設の人材育成や経営コンサルティングを行う。B1リーグ所属プロバスケットボールチーム「レバンガ北海道」の副理事長も歴任。
⬛️ 株式会社こども保育環境研究所
埼玉県狭山市広瀬東1-16-34
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