9月27日、ベルビューチルドレンズアカデミーで、パトリック・ニューウェルさんによる教師と親を対象にした講演会が行われた。子どもたちが現代を生き抜くために必要な「21世紀型スキル」や、日米の異なる文化の中で親はどのように子育てに取り組むべきか話を聞いた。
21世紀型スキルを育む学習
現代はインターネットを使えば誰でも簡単に知識を得ることができる時代です。だからこそ、自分で考え学ぶ力、つまり探求心が大事なのです。それを「21世紀型スキル」と呼んでいます。これまでの読み書きといった学習の他に、具体的には4つのC=「Creativity(創造力)、Communication(コミュニケーション)、Collaboration(協調性)、Critical Thinking(批判的思考法)」を早い段階から家庭で養っていくことが、21世紀型スキルを育むうえで有効だと考えます。
現代の親に求められること
子どもたちが学校で過ごす時間は1日のうちのわずか14%。学校以外で過ごす時間の方が多い。つまり親がプライマリーエデュケーター(主要な教育者)だということです。子どもたちにとって何が必要か、どんな教育が必要かを理解することが必要でしょう。自分にとって何がベストかなんて誰も分かりません。子どもの幸せを第一に考えて、押し付けにならないように注意しなくてはならない。まずは子どもたちが何に情熱を持てるのか気付かせることです。毎日子どもと会話をする時間を持つようにして下さい。「今日学校でどんな良いことがあった?」、「学校でどんなことをもっと学びたい?」、「退屈なのはどの授業?」という質問をしたり、一緒に本を読んで感想をシェアする時間を持つのも良いですね。
日本文化の素晴らしさを子どもと分かち合う
アメリカから日本に帰国した子どもたちが学校に行きたくなくなる理由の一つに、日本の社会に馴染めないということがあります。日本とアメリカ、この文化的ギャップをどう乗り越えるのか。土曜学校が選択肢としてありますが、まずは家庭で日本の文化について理解を深める機会を設けること。たとえば日本の祝祭日について、その意味や歴史的背景、重要性を話し合ったりして、自分たちの持つ「日本人」としての自覚や、日本の文化に好奇心を持たせ続けることです。異なる文化の中での子育ては大変ですが、子どもたちとの時間を大切にしながら、子育てを楽しんでもらえたらと思います。
取材・文:小林真依子/ 写真:越宮照代
Patrick Newell
■TEDxTokyoの共同創設者であり、教育活動家。グローバル人材育成を目的とした国際バカロレア(IB)プログラムを採用する東京インターナショナルスクールのビジョンナビゲーターとして活動する傍ら、養護施設の児童を支援するLiving Dreams、「21世紀型の教育法」開発を推進する21FoundationといったNPOを設立・運営する。
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