タイタニック・ザ・エキシビジョン
「タイタニック・ザ・エキシビジョン」では、タイタニック号の歴史の詳細を紹介し200点以上の現物のアイテムを展示。シアトル・ダウンタウンのウォーターフロントで、9月29日まで開催予定です。
取材・文:中島雅紘
タイタニック号といえば1912年4月の沈没事故が思い浮かぶだろう。しかし、この展示会ではタイタニック号にまつわる人々の物語に焦点を当て、造船に関わった技術者や乗組員、乗客それぞれの夢と期待がどのようにこの船に託されたのか深く掘り下げている。
会場では200点以上のアイテムや写真が展示され、船内キャビンや廊下のレプリカを実際に歩くことができる。提供される音声ガイドの解説を聞きながら鑑賞することで、タイタニック号への理解がいっそう深まるだろう。
乗客の日記、手紙、衣服、ライフベストなどのアイテムには持ち主の写真も添えられており、その背景に思いを馳せると強く心が揺さぶられる。
1等クラスの豪華なスイートルームから3等クラスのキャビンまで客室が細部にわたって再現されているため、船内の空気感をリアルに体験することが可能。音声ガイドでは乗客や乗組員の証言を通じた説明が聞けるだけではなく、彼らの肉声まで聞くことができ、当時の様子が鮮やかに伝わってくる。
タイタニック号とシアトルには、実は深い縁がある。マイクロソフト共同創設者でシアトル出身のポール・アレンはタイタニック号や海洋の歴史に強い興味を持ち、さまざまな水中探査プロジェクトに参加し、資金提供をしてきた。彼の所有する会社であるバルカン社は深海探査用の高度な水中探査機やソナーシステム(音波で物体を探知する装置)を開発し、それがタイタニック号の発見を可能にした。
アレン氏は、戦艦武蔵の残骸の発見にも力を尽くした。2015年、アレン氏が資金提供した調査船ペトレルは史上最大級の戦艦である武蔵の残骸を特定し、記録することに成功している。
当時の最新技術を結集したタイタニック号が、なぜあのような悲運に見舞われたのか?
タイタニック号の悲劇は、新たな人生を求めて希望に満ちあふれていた人々が、不十分な安全管理によって予期せぬ形で人生の幕を閉じざるを得なかった物語だ。当展示会はタイタニック号の歴史と多くの人々の運命を変えた出来事を深く理解し、その物語に触れる絶好の機会。ぜひ訪れてみてほしい。
場所:906 Alaskan Way, Seattle, WA 98104
所要時間の目安:約80~90分
料金:一般$29~、65歳以上・学生$25~、4~12歳$19~ ※3歳以下無料
問い合わせ・詳細:https://titanicexhibition.com/seattle
8月号P18掲載の同イベント紹介欄の料金に誤りがありました。上記の通り訂正し、お詫びいたします。