パシフィック・ノースウエスト・バレエ(PNB)による、クラシック・バレエの最高傑作「白鳥の湖」が4月24日(日)までマリオン・オリバー・マコー・ホールで上演中です。
取材・文:本田絢乃
「くるみ割り人形」、「眠れる森の美女」と並んで世界3大バレエと称されるチャイコフスキー作曲の「白鳥の湖」。PNBでは、プティパ=イワノフ版を元に前芸術監督のケント・ストウェル氏が再振付を手掛けた改作版が4月15日から上演されている。
筆者が鑑賞した3日目の配役は、オデット/オディール役にレタ・ビアスッチさん、ジークフリート王子役にカイル・デイビスさん。近年、プリンシパルに昇進した両名は、白鳥の湖で主役を踊るのは今シーズンが初めてだ。2月に上演の「ロミオとジュリエット」でも存在感を放った期待の新鋭、 櫻木 空(さくらぎ くう)さん(コールド・バレエ)も宮廷道化役で出演。ソロ・パートでは愛嬌(あいきょう)いっぱいにテクニックを駆使した踊りを見せた。
見どころが詰まった全4幕の中で、特に白鳥オデットと黒鳥オディールのひとり2役の踊り分けにはダンサーの個性が現れる。レタさんは第2幕、王子とのパ・ド・ドゥでは気品高い白鳥を、第3幕のグラン パ・ド・ドゥでは魅惑たっぷりの悪女な黒鳥を、ラストの第4幕では裏切られ悲哀に満ちた白鳥を感情豊かに演じ切った。
そしてもうひとつ忘れてはならないのが、第2幕の群舞のシーンだ。24羽の白鳥による一糸乱れぬ踊りの美しさはさることながら、その衣装にも着目したい。トニー賞受賞経験を持つ衣装デザイナー、ポール・タズウェルさんが手掛けた衣装は2003年の初演以降、大切に手入れされ受け継がれてきたが、今回は寄付によって群舞のチュチュが一新。手作業で行われるため一着に200時間も費やすのだとか。踊りと共にぜひ会場で目を向けてみて欲しい。
Pacific Northwest Ballet
Swan Lake
場所:Marion Oliver McCaw Hall
321 Mercer St., Seattle, WA 98109
日程:開催中〜4月24(日)
料金:$30〜 デジタル配信$35 ※5月12日(木)〜16日(月)
問い合わせ:☎206-441-2424
チケット・詳細:www.pnb.org/season/swan-lake
新型コロナ感染対策におけるガイドライン、入場条件はウェブサイトにて。