4月20日(金)~22日(日)の3日間、シアトル・センターにて開催される今年の桜祭の目玉企画!イベントに先駆けて、特別インタビューをお届けします。
「願いましては~」、「ご破算で~」。知育や脳トレの効果が注目されブーム再燃のそろばん。好みのパーツを選んで「マイそろばん」が作れるワークショップが、桜祭で開催される。「播州そろばん」の宮永英孝会長と、シアトル算数珠算学院の佐野哲哉先生に、そろばんの魅力と共に紹介してもらった。
取材・文:小林真依子
「桜祭そろばんビレッジ」ではどんなことができますか?
そろばんビレッジは、播州そろばんの組合員である株式会社ダイイチが運営する、そろばん製作所です。色とりどりの玉を使って、世界にひとつだけのマイそろばんを作ることができます。アメリカでは昨夏の「ジャパンフェア」が初出展で、たくさんの方に日本の伝統工芸体験を楽しんでもらえました。来年以降はアメリカでの開催は未定なので、今年のチャンスにぜひお越しください。
播州そろばんの歴史について教えてください。
そろばんの起源は、紀元前3000年ごろにメソポタミア地方で発祥した「砂そろばん」にあると言われ、形を変えながら欧州や中国に広まり、日本へ渡ったのは室町時代。中国から長崎、そして大津に伝わりました。播州そろばんは、播州三木城兵糧攻めで大津へ逃げた民がそろばんの製法を学んで播州に持ち帰り、現在の兵庫県小野市を中心にそろばんの産地となったことから生まれました。
国の伝統的工芸品にも指定されている「播州そろばん」とは?
そろばん作りの工程は玉削り、玉仕上げ、桁作り、組み立ての大きく4つに分けられます。各工程に専門の伝統工芸士がおり、玉がはじきやすい、長く使えるそろばんを目指し、9社30人の職人が細部にまで気を配って作業をしています。素材はほとんどが国産。日本でそろばんを製造するのは、島根県の「雲州そろばん」と合わせて2カ所ですが、雲州そろばんは職人不足により、ほとんどの素材を播州そろばんから仕入れています。
幼少期からそろばん学習を始めると良いのはなぜですか?
そろばんは考えながら指で玉を動かすので、主に思考や創造性をつかさどる脳の前頭前野が働き、頭の体操になります。幼少期の脳は柔軟。学校で計算を学ぶ前にそろばんを習うと、教えられたそろばんだけが頼りとなり、頭の中でそろばんをイメージしながら計算するように。さまざまな研究で数学や科学スキルとの関係があるとされる「空間認識力」の向上にもつながります。指先を動かし、脳を刺激するので、認知症予防にも役立ちます。
日本式のそろばん学習は今やアジア、中東諸国、ヨーロッパまで広がっています。先生の話を聞く、問題集を自分で解くという「自学自習」の力を育めると、世界でも注目されているからです。小野市では、日本全国から使わないそろばんの寄付を呼びかけ、トンガやインド北部などの発展途上国へ寄贈しています。
桜祭そろばんビレッジ
日程:4月21日(土)・22日(日)10am、11:30am、1pm、2:30pm、4pm、5pm
場所:Fischer Pavillion at Seattle Center
料金:9桁$20、12桁$24、15桁$28
(現金のみ・メールで要予約)
問い合わせ:info@step-education.com
株式会社ダイイチ■兵庫県小野市にある、創業明治42年の播州そろばんメーカー。マイそろばん製作所「そろばんビレッジ」を日本や世界各地のイベントで開催するなど、そろばんの良さを伝える活動も行う。http://daiichi-j.com
シアトル算数珠算学院(Math Abacus School of Seattle)■ベルビュー、シアトル、ボセル、イサクアの各教室で、幼稚園児から大人まで、少人数制による直接指導を行っている。日本語でそろばんを学びながら、「計算力」や「暗算力」を養う。www.abacusseattle.com