シアトルから羽ばたく天才少女!
バイオリニスト 戶倉凛さん
3月8日(土)、9日(日)に、シアトル・フェスティバル・オーケストラによるコンサート「エコーズ・オブ・ザ・イースト」が開催されます。東洋をテーマにしたこの公演では、グスターヴ・ホルストの「日本組曲」やバオ・ユアンカイの「台湾音画」など、エキゾチックで魅惑的な楽曲が奏でられます。また、シアトル出身のバイオリニスト戸倉 凛さんがソリストとしてフェリックス・メンデルスゾーンの「バイオリン協奏曲」を演奏します。公演を間近に控えた凛さんにその意気込みやバイオリンとの歩みについて聞きました。
取材・文:加藤良子 画像:本人提供
©️Sisi Burn
戸倉凛 ■現在13歳。3歳でバイオリンを始め、11歳でオーケストラ・デビュー。カーネギー・ホールで3回のリサイタルを経験。シアトル交響楽団とオリンピア交響楽団の若手演奏家として選出されている。2024年にイギリスの名門校、ユーディ・メニューイン音楽学校に進学。ロビン・ウィルソン教授に師事する。
@lin.tokura
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―バイオリンを始めたきっかけは何でしたか? 1 番楽しい瞬間はどんな時ですか。
母が昔からバイオリンへの憧れがあったらしくて、子どもに楽器を習わせるならバイオリンがいいなと思っていたそうです。2歳半の時に家の近所にバイオリンのお教室ができて、見学に連れて行ってくれました。半年間は見学だけしていたみたいです。最初の頃のことは覚えていませんが、3歳の終わりには、バイオリニストになるって宣言していました!
バイオリンを弾いていて一番楽しい時は、演奏が終わって、観客の皆さんから拍手や歓声をいただいている時です。あとは新しい曲を弾くのもワクワクして大好きです。
―1日何時間くらいバイオリンの練習をしていますか。大変だと感じることを、どのようにして乗り越えてきましたか。
平日は3、4時間、休日は一日中練習してます(7時間から9時間くらい?)。今は練習が大好きで楽しいのですが、メニューイン音楽学校に来る前は練習が好きではなくて、いつもダラダラとやっていました。この学校に来てから、新しい曲をたくさん学んだり、周りの素晴らしい音楽家たちから刺激を受けたりして、自分の目標みたいなものが見つけられたから、自然と練習が楽しくなったんだと思います。
―バイオリンの練習をするとき、先生に詳しく教わらなくても、自分で演奏方法や工夫を思いつくことはありますか?
作曲家や時代によって、基本的な弾き方があるんです。モーツァルトだったらこういう弾き方、メンデルスゾーンだったらこう、っていう基本は分かっているので、そこから音程や表現の仕方などの技術的な練習をします。自分の考えた指づかいやボーイングがうまくいって、音程が整ったり、フレージングが良くなるなど、手ごたえを感じて、それを先生に褒められたときはやっぱり嬉しいです。
―ユーディ・メニューイン音楽学校や寮生活は楽しいですか? どんなことをして過ごしていますか? びっくりしたりしたことがあれば教えてください。
メニューイン・スクールは、もうめちゃくちゃ楽しいです! 同門の先輩たちがとにかく素晴らし過ぎて、いつもたくさん刺激をもらっています。友だちともとても仲が良くて、一緒に練習したり、勉強したり、彼女たちといる時は何をやっていてもいつも笑顔です。
イギリスに来て驚いたのは、この学校だけかもしれませんが、先生を下の名前で呼び捨てするんですよ! 校長先生や自分の師事しているバイオリンの先生まで! 最初に来た時は本当にびっくりしました。
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バンクーバー・メトロポリタン・オーケストラとの共演
―尊敬しているバイオリニストや目標にしている人はいますか。
同い年で、とにかく技術の高い子がいるんです。一切音程を外さないところは尊敬します。あと同門の先輩たちもとても尊敬しています。特にクリスチャン・リーさんは、何年も前からずーっと目標にしてきた人で、まさか同じ学校にいるなんてびっくりしましたし、同じ先生なんです! 昨年末に私はシアトル・シンフォニーと共演して、ビバルディの「冬」を演奏したのですが、クリスチャン・リーさんからいくつか弾き方のアドバイスをもらいました。
バイオリニストのアウグスティン・ハーデリヒさんもとても尊敬しています。彼は完璧な音程で、彼にしか出せない独特の情緒があって、感動的な演奏をする人です。マリア・ドゥエニャスさんの情熱的な演奏も大好きで、ソリストとしての華があって憧れます!
―バイオリンの練習をしない日はありますか。休暇や、練習のあとに訪れたい場所や好きな過ごし方はありますか。
バイオリンの練習をしない日はないですね。バイオリンは1日休むと取り戻すのに3日かかると言われていますし、毎日バイオリンを弾くのは、毎日食事をするのと同じくらい、私にとってごく当たり前のことです。
休憩時間は、友だちと学校の中庭にあるブランコに乗りに行きます。いっぱい漕ぐとストレス発散にもなって楽しいです。あとは、週末に近くのスーパーでお菓子を買ったり、お友だちとウーバーイーツでタピオカティーを注文して飲むのが楽しみです。
―3月8日、9日のコンサートで演奏予定のフェリックス・メンデルスゾーンの「バイオリン協奏曲」はどのような曲で、どんなところを意識して演奏されますか?
この曲は「ロマン派の情熱」と「古典派の均整」が共存するため、解釈の上でパラドックス的な難しさを持ちます。たとえば、楽譜に「情熱的に」という指示があっても、単に大きく強く弾くのではなくて、むしろ繊細な音色で内面的な情熱を表現することが求められる場面が多いです。普通は、「情熱的」と書いてあったら大きく強く感情を全面に押し出す感じで弾きたくなると思いますが、この曲の場合は違うんです。意識しているのもそこですね。
―当日コンサートに訪れる人へのメッセージを一言お願いします。
今回はコンサートに来ていただいて、本当にありがとうございます! 私の大好きな曲なので、皆さんにも大好きになってもらえたら、嬉しいです♡
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8日のコンサートは家族向け。赤ちゃんや小さなお子さんも大歓迎!
Echoes of the East
日程:3月8日(土)2pm~
住所:St. Stephen’s Episcopal Church4805 NE 45th St., Seattle,WA98105
料金:無料
チケット・詳細:https://ticketstripe.com/events/4703106512847291
日程:3月9日(日)2pm~
住所:Town Hall Seattle1119 8th Ave., Seattle,WA98101
料金:5歳~18歳$5、一般$20、シニア$15、5歳未満無料
チケット・詳細:https://ticketstripe.com/events/6420106512946414