ボランティアの盛んなシアトルでは、私たち日本人が参加できるイベントやプログラムがたくさんあります。今回は、日本語が生かせる日系団体のボランティアをしている方2人にインタビューしました。ソイソーススタッフのボランティア体験もご紹介します。
日系ボランティア団体 インタビュー
- アメリカの学校の子どもたちに日本を紹介する
日米協会主催プログラムJapan in the School 津岡昌子さん - 高齢者のアクティビティーを手伝う
アダルトデイケア「心会」 サムナー真規子さん ←今ココ
ソイソーススタッフのボランティア体験談
- 服が必要な子どもたちのために
クローズ・フォー・キッズ(Clothes For Kids) - ダウン症をサポートするウォーキングイベント
ピュージェットサウンド・バディ・ウォーク(Puget Sound Buddy Walk) - 北米最大の映画祭でボランティア体験
シアトル国際映画祭(Seattle International Film Festival)
高齢者のアクティビティーを手伝う
アダルトデイケア「心会」
サムナー真規子さん
取材・文:越宮照代 写真:越宮照代、山添史
子育て経験が生かせる高齢者ケア
平日の朝、宇和島屋シアトル店近くにある高齢者施設、日系マナーの一室では、アダルトデイケアプログラム「心会」が開催されていた。広々とした部屋の中に置かれたいくつかのテーブルにお年寄りが数人ずつ座ってラミーキューブというゲームをしている最中だ。各テーブルにはボランティアが付き添って「これはどう?」などとゲームの進行を手伝っている。その1人、サムナー真規子さんは、昨年11月から心会のボランティアを始めた。
「3人の子どもも成人したし、何かできることはないかな、と思ってインターネットで探していて見つけたのが日系マナーのボランティアだったんです」。真規子さんが高齢者施設でボランティアをしようと思ったのにはもうひとつ理由がある。「親が日本にいるんですが、そばにいてあげられない分アメリカで何かできないかなという罪滅ぼし的な気持ちもあったので、私のやりたかったこととマッチしたんです」
申請書類を提出して、面接を兼ねたオリエンテーションを受けるという過程を経て採用が決まり、その後でコーディネーターのシェリルめぐみさんから、「心会」で高齢者のアクティビティーを手伝うことをすすめられた。
「子どもたちが小さい頃には学校で常に何かしらのボランティアをしていましたし、子育てを通して少しは忍耐強くなり、何を言われても一旦それを受け入れ落ち着いて対応出来るようになりました」。それが心会でも役に立っているように思える、と言う。
ボランティアとしての活動は、「朝来てお茶の時間にお年寄りとお話をして、今日のようにゲームのお手伝いをして、ランチの配膳のお手伝いをして、歌の時間だと歌の本のページめくりをしたり、といったことですね。動作に時間がかかる方もいらっしゃるので、そういうときにはお手伝いします」。ゲームはルールを知らないと手伝えないし、一緒に楽しむことも大切だという。「自分が楽しんでいないとそれが伝わってしまいます」。この日のゲームについても「最初にやった日に面白かったのですぐ買って帰って、自宅で夫と2人でやりました。それ以来ほぼ週末ごとに2人でプレイしています(笑)」
ボランティアを始めて生活にハリができた
「心会には、80歳後半の方や90歳の高齢の方もいらっしゃって、昔のお話を何度もされるんですが、それを伺っていると、私が悩んでいる小さなことなんかどうでもいいように思えてきて。元気に明るく生きていけばいいんだなって(笑)」と、ボランティアを通して高齢者から元気をもらっているそうだ。
アメリカにいる高齢者は日本のお年寄りに比べて自立していて、やりたいことをやってイキイキしているなと感じることが多いと言い、「ここに来ていると、日本の親にも、『歳だからってやりたいことあきらめないで、どんどんやってみたら』って言ってあげられるかなって思いますね」。ずっと立っているので一日の終わりにはぐったり疲れるが、いい疲れだそうだ。
ボランティアを始めてよかったことのひとつに、生活にハリができたことがある。「これまで毎日同じだったのが、水曜日にボランティアを始めたことで、この日はまるで違う。「おかげで1週間が短く感じられ、他の日で済ませないといけないことが増えるので充実して、だらだら感がなくなりましたね」
今、ボランティアをしようかと思っている人には「楽しもうという気持ちでやってみることでしょうね。お友達を作ることかもしれないし、自分の知らないことを知ることだったり。ここの場合だと、笑いかけると笑顔が帰って来るっていうご褒美があるんです」と、笑顔で結んでくれた。
敬老ノースウエストのボランティア
日系人高齢者に良質のケアを提供することを目的に1975年にシアトルの日系人有志によって始められた敬老ノースウエスト(旧称・日系コンサーンズ)は、ホームケア、敬老リアビリテーション&ケアセンター、日系マナー、ケータリング、生涯教育「日系ホライゾン」、高齢者デイケア「心会」のプログラムを運営しており、そのすべてでボランティアが必要とされている。ボランティアは常時募集をしており、例をいくつか挙げると、バス運転手、運転手アシスタント、コンピューターワークアシスタント、ゲームアシスタント、一対一のコンパニオン、翻訳、通訳、ミュージシャン、パフォーマーなど多岐にわたる。ベルビューでのボランティアポジションもある。
敬老ノースウエスト
ボランティア・イベントコーディネーター
シェリルめぐみ
☎︎206-726-7830 msherrill@keironw.org
敬老ノースウエストウェブサイト
www.keironorthwest.org
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クローズ・フォー・キッズ(Clothes For Kids)