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新施設完成!シアトル・ヒューメイン

昨年12月に、ワシントン州で最大のアニマル・シェルター(動物保護施設)、シアトル・ヒューメインが新築オープン。築約60年の老朽化した建物を解体し、最新設備を整えたモダンなアニマル・シェルターとして生まれ変わりました。新施設をいち早く見ようと訪れた日本人グループの見学ツアーに同行しました。

取材・文:越宮照代

想像を超える最新設備が整う

見学ツアー参加者にクリニックの設備を紹介するスコットさん

新施設見学ツアーに参加したのは、日本人愛犬家グループ、ワン友会のメンバーを中心にその他の犬好き数人を交えた28人。企画したのは、ワン友会のメンバーでシアトル・ヒューメインのボランティアでもあるスワンバーグ恵子さんだ。同施設のプランドギビング(特定寄付信託)ディレクター、スコット・フレージャーさんがツアーを構成した。

猫コンドや個室など特製ケージの中で過ごす飼い主募集中の猫

まず、スコットさんが、シアトル・ヒューメインの歴史と活動内容について説明。3,000人ものボランティアが登録し、動物の世話や各種イベントに協力していると聞いて、一同驚く。さらに、アダプション担当のジュリー・コーティノさんが、ここに来る動物の40%は飼い主がなんらかの理由で連れて来たもので、あとは他のアニマル・シェルターから引き取ったものであること、他のアニマル・シェルターでは安楽死させられるようなケースでも、ここではリハビリテーション・プログラムを用いて、新しい飼い主が引き取り可能になるまでトレーニングすることなどを紹介。同施設では、犬を引き取ると、避妊手術と予防注射の完了、最初の医療費の割引、無料ドッグ・トレーニングなどさまざまな特典があるという。

見学ツアーでは普段は一般公開していないところも見られるとあって、みんな興奮気味だ。見学したのは、飼い主募集中の犬・猫セクション、リハビリ中の猫の部屋、洗濯室、犬の運動場、ペット用品店など。特殊なプラスチック使用の透明ケージには防音効果があり、見通しは良いが外の音は聞こえにくい造りで、犬と猫にとってストレスが少ない。特に犬舎に至っては、他の犬の姿が見えるとストレス度が高くなるため、お互いの姿が見えない構造になっている。猫コンドと呼びたくなる大きな部屋には、複数の猫が収容されており、人が立ったまま入ることができる。驚かされたのが、最新設備を導入した開放的で広々としたクリニック。レントゲン室から手術室までそろい、人間の病院かと見まごうばかりだ。

訪れた人が、それぞれの犬、猫の本来の姿に触れることができ、家族に迎え入れたいと思えるようにと、隅々にまで配慮された施設だと感心させられた。

シアトル・ヒューメイン┃Seattle Humane
13212 SE. Eastgate Way, Bellevue, WA 98005
www.seattlehumane.org

アダプション・センター
☎425-649-7563
開館時間:日~水11am~6pm/木~土11am~8pm

これまでに見たこともない明るく開放的な施設に、「暗い」「かわいそう」といった、アニマル・シェルターに対する従来のイメージが払しょくされたという、見学ツアー参加者の声が多く聞かれた。
ツアー参加者とガイドのみなさん

ナオミさん(ワン友会の会長)

ブラックラブ1匹を飼い、グレイハウンドのレスキュー犬を預かっています。クリニックの設備といい、建物が素晴らしいですね。日本でもペットのグループに参加していますが、日本ではペットショップで動物を買う人が圧倒的に多く、パピーミル(繁殖優先の悪徳ブリーダーの通称)への意識もそれほど高くない。アメリカのこうした取り組みが日本にも広がると良いと思いました。

栄里子さん

古い施設も知っているので、新しい施設はうれしいサプライズ。空気がきれいで動物臭はなく、犬の鳴き声もしない。多くの人に来て欲しいし、自分もまた来たいと感じました。

ブライアンさん

清潔で、モダンで、スタッフはとても親切。ハッピーな場所だと友だちにも教えたいです。

りかこさん

自宅では犬2匹、猫2匹、オカメインコ2羽を飼っています。ここでは98%の動物が安楽死させられていないと聞き、感心しました。最新設備が充実するクリニックは感動ものです。

光さん

日本の大学の獣医学部に在籍し、現在はハイライン・カレッジに留学中です。何もかもが大きくて、特にクリニックの規模には驚きました。手術室や診療室がガラス張りでオープンになっていて、しかも何室もあるのにはびっくりです。

珠恵さん

これまでシェルターは暗くて臭いというイメージを持っていて……。でも、ここに入った第一印象は、「ホテルみたい」でした。また来たいし、ボランティアをしたいとも思いました。日本とはボランティアに対する感覚が違うので、ここでいろいろ学びたいです。

次ページ、シアトル・ヒューメインで犬、猫の命を守るスタッフたちのお話し

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越宮 照代
ライター、編集者。関西の出版社に8年勤務の後、フリーライターに。語学留学のため渡米。シアトルのESL卒業後スカジット郡に居住し、エッセイ寄稿や書籍翻訳などを手がける。2006年より『ソイソース』の編集に携わり、2012年から2016年まで編集長を務める。動物好きが高じてアニマル・マッサージ・セラピストの資格を取得。猫2匹と暮す。