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チャレンジする日本人アーティスト

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シアトルを拠点に活躍している日本人は数多い。今回は、チャレンジの多いアメリカという土壌で自ら道を開拓し、より大きく活躍の場を広げているアーティスト4人をご紹介。
取材・文:越宮照代、山﨑悠、山本夕紀、石橋迪与 写真:越宮照代

 

 

現代モザイクアーティスト 森澤直子さん

かっこよさがキーワード

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My Dahlia Ⅱシアトルアート委員会とシアトル交通局の助成金によるArt Interruption 2015プロジェクトの一環として制作セントラルディストリクトのP Patchに展示中

「子どもの頃から、かっこいいがキーワードなんです」。定義は、「努力していてもそれを感じさせない。大変な思いをしてデザインしても、はたから見たらするっと出たんだろうなと思わせるもの」
絵は子どもの頃から好きだったが、熱中したのは中学生の時。 「美術の先生がすごくおもしろくてかっこよかったんですよ笑)」。型破りな教え方だったらしい。「例えば『空が青いという概念に縛られないで、今日はピンクだというならそれでもいい』という考え方をする先生なんですよ。でも、『どうしてピンクにしたのか理由が言えないとダメだよ』って」。その先生にほめられたくて、何はさておいても美術の宿題に打ち込んだという。
大学進学を控えた時、油絵に興味があったのだが、実際に塾を見学するとデザイン科に惹かれた。「デザイン科のデッサンというのは上手下手よりもそれ以外の何かが必要で、私はそれが欲しかったんだと思うんです。それが何か説明できないんですけど……」
多摩美術大学のデザイン科に入学。工房にこもって作品作りに没頭していると、突然ぽっと電球がつく(ひらめく)という経験をして「楽しい」と思った。今でも、作品について考え続けていると、お風呂に入っているときなどにふとアイデアが浮かんでくることがあるという。

制約の中で工夫する面白さ

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Energy IV New Wave2014

大学卒業後、物産会社の宣伝部に所属し、数年間パッケージデザインなどを手がけた。退職後結婚してからカルチャーセンターで絵を教えていたある日、文化祭会場で伝統工芸品の寄木細工を見て興味を持った。最初は小さな作品をひとつ作ったらいい、という軽い気持ちで習い始めたのだが、次第にのめりこんでいく。寄木細工は非常に細かい仕事で、それを伝統にのっとって学ぶのはとても時間がかかる。それでも直子さんは、「組み木の方法をアレンジして作ったら面白いだろうな」と、薄い木に色を染め、小さく切って組むという、現在のスタイルを作り上げた。「先生は、『人のしないことをやりなさい』と言う方で、新しい創作活動には寛容な方でした」。本来、材料加工の技法は絶対に生徒に教えなかった先生だが、なぜか直子さんには教えてくれた。「だから、今こうしてアメリカに来ても作品を作ることができるんですけどね」
寄木細工と聞いて直子さんの作品をイメージしていると予想は裏切られる。描くものは猫や花、蝶、靴といった具象であったり、抽象画だったりするが、いずれも一見すると油絵に見えなくもない。近づくと色の付いた木片の寄せ集めだとわかるのだ。
「木目が出るのが大事なんです。角度によってもわもわっとしたむらが出て、それで奥が深く見えたりする」。油絵などに比べると大変な制約と手間隙がかかる。「それが面白いんです。絵の具で水を表現するのと板で水を表現するのは違う。どうしたら水を表現できるかを考えるのが楽しいというか…。私は不器用だから、制限があるほうがいいのかもしれない」

アメリカで創作すること

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Energy VII Gravity2015

2004年に夫の仕事の関係でオレゴンに移住し、翌年シアトルへ越して来た。アメリカに来たことで大きい作品を作るようになった。「日本にいたら小さな商業的な作品ばかりになっていたと思う」という。
悩みはコミュニケーションが苦手なことだ。「アメリカでは作品について本人が説明できないとダメ。『どうしてここは赤なのですか』とか、『ここをこうした時、あなた何を考えていたのですか』とか説明を求められますから」と苦笑する。なんとなくでは済まされないアメリカで、口下手な日本人アーティストは居心地悪そうだが、「でもアートウォークはいいですね。アートが身近になるし、アーティストにとっても多くの人に見てもらえるいい機会になります」。今後は、CDの装丁などもやってみたいし、作品を扱ってくれるギャラリーの開拓をLAやニューヨークでもしていきたいと、意欲的だ。「自分の作品を見た人に『これ、いいじゃん!』って思ってもらったらすごく嬉しい」。かっこよさを追い求めている直子さんらしい言葉だ。
最近新しい素材に取り組み始めた。雨の多いシアトルで、パブリックな場に採用してもらうには水に強いもので作るのが望ましい。そう考えていたところ、昨夏、庭の水遣りに使われていたチューブロープが目に入った。「生きているように見えたのとビニール製だから水に強いし、面白いんじゃないかな」と。早速作った作品は、エドモンズ市の公園に設置されているそうだ。2016年5月には、シアトルセンターのポエットガーデンでの採用が決まっている。

[ 森澤直子さんの作品展スケジュール ]
グループ展
会場:Kirkland Arts Center 620 Market St. Kirkland
期間:1月中旬まで
日時:火~金 11am~6pm、土 11am~5pm
kirklandartscenter.org
☎︎ 425-822-7161
2人展
会場:MACY’S Art Gallery(メイシーズ6階)3rd & Pine, Seattle
期間:1月初旬~3月初旬
日時:月~土10am~8pm、日11am~7pm
会期中、2月4日開催のシアトルダウンタウン・アートウォークに参加予定。
www.naokomorisawa.com

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中村奈美子さん